ジュニア会員からプロが誕生!地域と共生するゴルフ場「養老カントリークラブ」を訪ねてみた。

TOM
今日は養老カントリークラブに行こうよ~
SARA
ゴルフはやったことあるの?
TOM
ない!けど、ゴルフのアニメやドラマはよく観てたから大丈夫!猿みたいな野生児がゴルファーを目指すアニメとか、祈りっ子って呼ばれた少女がゴルファーを目指すドラマとか…
SARA
・・・昭和感万歳ね・・・私達の年齢がバレるじゃない・・・

 

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岐阜県大垣市にある養老カントリークラブをご存知だろうか。
自然の地形を取り入れた18ホールの丘陵コースが特徴のゴルフ場だ。今回は支配人の早矢仕 広樹(はやし ひろき)さんにお話を伺った。

 

 

今回のツムギポイント!
  1. 個性豊かなコースが強みのゴルフ場
  2. 営業もこなす支配人
  3. ジュニア会員からプロテスト合格者を輩出
  4. 広い土地と自然を活かし、ゴルフ場を超えた活用
  5. 地産地消、地域のお米を使ったレストラン

 

①個性豊かなコースが強みのゴルフ場

 

養老カントリークラブは、名古屋から車で1時間強の場所にあり、養老や関ケ原観光の際にも立ち寄れるアクセス至便なゴルフ場だ。世界ゴルフ殿堂入りを果たした、「ピーター・トムソン」が設計した。「ピーター・トムソン」は1929年生まれのオーストラリア人プロゴルファーで1954年から1965年にかけて全英オープンを5回制覇し、エリザベス女王から「サー」の称号を授けられている。

 

養老カントリークラブのコースは、養老山脈に抱かれた自然林をそのまま生かし、雄大な自然を取り入れたレイアウトとなっており、多彩なコースを楽しめる。

 

養老カントリークラブの最大の強みは、やはりコースの面白さだ。

 

「ドッグレッグや、バンカーで周りを囲まれたホール、雄大な約40mの打ち下ろしなどがあります。」

 

ちなみにドッグレッグとは、ゴルフコースにおいて、ホールが犬の脚のように左右に曲がっているレイアウトのことだ。曲がりくねっているため、上級者向けのコースとなっている。

 

そんな特色あるゴルフ場の支配人を務めるのが、早矢仕さんだ。高校のころからゴルフに親しんできた。

 

「高校時代はゴルフ部でした。アルバイトでキャディをやっていたんです。ですから高校1年の頃からずっとこの業界ですね。しかし卒業する頃にヘルニアで腰を悪くしてしまったこともあり真面目に就職活動せずにいたんです。そしたら先生に呼び出されて、ゴルフ場の求人票を薦めてもらい、そこに就職したんです。」

 

早矢仕さんはそれから45歳までそのゴルフ業界で働いたあと、退職した。その後しばらくは他の業界で働いていたが、ゴルフの練習は続けていた。そのときに付き合いのあった業者の方が、カントリークラブに早矢仕さんを紹介したことをきっかけに、業界に再就職する。2024年春で7年になるという。

 

 

 

 

②営業もこなす支配人

 

 

ゴルフ場の支配人というのは、どのような仕事なのだろうか?

 

「経営者によって、全然違いますね。私がキャディをやっていた頃はバブルでした。支配人は、ロビーで足を組んで新聞を広げていましたね。そこにお客様がお菓子を持ってきて『予約を取ってくれてありがとうございます。今後もよろしくお願いします。』とお礼を言うんです。そのような時代でした。」

 

当時は電話予約が殺到し、お客様が手土産を持って「予約を取ってください」と直接頼みに来たという。

 

「本来は支配人というのはゴルフ場の各部署の状況を管理するのが仕事です。売り上げに対して経費がいくらかとかを見ています。一言でいうと経営管理ですね。また、コースの状況も把握しておく必要があります。」

 

ずっと机に座っているわけではなく、現場の確認もしている。

 

「昔は座っていたらよかったんですけどね。今は従業員もそんなに豊富なわけではないですし。私もレストランで配膳をしたり、フロントで受付をしたりしますよ。」

 

フロントに立ってお客様と話をすることも多い。

 

「じっとしているのが嫌なので、フロントに入っていることが多いですね。コンペの交渉など営業もやります。フロントにいるから、お客様も話しかけやすいというメリットはありますね。」

 

サービスなどについて、支配人に直接聞けるのは、このゴルフ場の強みといえるだろう。また、早矢仕さんは営業の外回りもするという。

 

「他の練習場さんとコンペの話をしたり、企業に顔を出すこともあります。うろうろしながらお客様に顔を売っていますよ。今は練習場さんでも、来てくれたところしかコンペはやりませんというところもありますからね。ですから、ちょこちょこ顔を出して雑談して、仲良くしています。持ちつ持たれつですね。」

 

そもそも、早矢仕さんが養老カントリークラブに就職したきっかけも、お付き合いのあった業者からの紹介によるものだ。早矢仕さんの人柄の良さがうかがえる。

 

 

 

 

③ジュニア会員からプロテスト合格者を輩出

 

クラブでは現在、ジュニアの育成に力を入れているという。

 

ゴルフは集中力や忍耐力を求められるスポーツだ。またコース上での状況判断や戦略立ても必要なため、問題解決能力も向上する。身体的な制約も少なく、将来的な社交にも役立つ。もし子どもに何かスポーツをさせたいと考えている場合、ゴルフはとても有効な選択肢なのだ。

 

クラブには2024年4月現在、100名近いジュニア会員が在籍している。またYONEX社とタッグを組み、毎年春と夏に大会を開催している。

 

「うちのコースは一般男性には短いと感じるかもしれないのですが、ジュニアや女性にはちょうどよい長さなんですよ。」

 

YONEX社とも、もともと付き合いがあったという。

 

「YONEXさんとは前職の頃から付き合いがありました。その当時、岐阜で大会をやりたいけど、ゴルフ場を知らないかと以前相談されたことがあるんです。それを覚えていたので、うちでどうかと持ち掛けたところ、じゃあお願いしますということで、開催に至りました。」

 

さらに、会員からプロテストに受かったジュニア会員も多い。2022年は藤井美羽さん、そして2023年は清本美波さんがプロテストに合格した。藤井さんは現役高校生で唯一の合格者となり、清本さんは高校生ながらトップの成績で合格している。ここは清本さんが練習していたクラブということで、取材も増えた。クラブとしても、ジュニアを育てていきたいと考えている。

 

「育成の一環として、練習設備を整えています。パターのフィッティングシステムもそのひとつです。そのシステムでパターの診断やフィッティングができるんです。ジュニアだけでなく、一般の会員やゲストの方もご利用いただけます。」

 

パターフィッティングとは、ストローク中のフェースローテーション(フェースが開閉する角度)を計測し、適正なパターのタイプ(重心アングル)を選択するものというものだ。グループ会社がフランスのARGOLF社というメーカーと代理店契約していて、養老カントリークラブでもパターフィッティング会も開催している。

 

 

 

 

④広い土地と自然を活かし、ゴルフ場を超えた活用

 

コロナ禍が落ち着いて、客足が伸びているかと思いきや、戻り切っていないと早矢仕さんは語る。

 

「実はコロナのときの方が新規のお客様が多く来ていました。外だから安全と思われる方が多かったんです。今は5類になり、行動の制限がなくなったので、以前の生活にみなさん戻られたので、ゴルフにハマった人が残っているという感じです。」

 

ただ、コロナ禍は自粛していたコンペ(大会)が開けるようになってきたので、少しずつ前の状態に戻りつつあるという。

 

「コンペでも昔みたいにドーンと大きなパーティーを開くのは難しいですが、ドリンクを準備したりして、少しずつ増えてきましたね。」

 

お客様が減っているのは、昨今の物価高の影響も大きい。

 

「特に年配の方は、年金は増えないのに支払いが増えています。そうなるとどうしても最初に削るのは遊興費になりますからね。練習場さんも厳しいと言っています。平日の朝は、定年退職したシニアのゴールデンタイムだったんですが、今は減っているようです。」

 

もちろん、そのまま手をこまねいているのではない。ゴルフという枠にとらわれず、さまざまなアプローチを展開している。

 

「会社としても、地域と仲良くして、この土地を活用していきたいと考えています。たとえば、市会議員の方を通じて、緊急避難場所としてうちを使っていいよという話をしています。地域の体育推進員の方から「ゴルフ場を散歩させてほしい」と相談がありました。そして地域の企画に会場提供して、ゴルフ場を散歩することになったんです。他のゴルフ場ではなかなかやっていないと思います。」

 

散歩は朝6時くらいに集合し、多いときは子どもから高齢者まで、100人位が参加するという。

 

 

 

 

⑤地産地消、地域のお米を使ったレストラン

 

さらに、レストランの運営が直営に変わったことから、地産地消などの特色を出し、利用しやすくしている。

 

「お米を、この地域の農家さんから直接仕入れて提供しています。この上石津は、日本一おいしいお米が採れる産地だとメディアで紹介されたこともあるんですよ。少しずつ地産地消の食材の割合を増やしていきたいですね。」

 

レストランに力を入れたい理由は、他にもある。

 

「このあたりには、あまり飲食店がありません。だんだん減ってきているんですね。なので、ゴルフをしなくても、ご飯だけ食べに来てもいいようにしたいんです。」

 

 

 

 

従業員の服装にも変化があった。以前はカッチリした制服だったのだが、今は夏ならポロシャツなど、ラフな格好になりつつある。

 

「もちろん、今でもカッチリしたゴルフ場は多いですが、うちはお客様に対してカッチリと対応するよりも、親しみやすくしています。練習場を整備して、コースを回らなくても、練習場だけでもOKにしたりとかも考えています。このクラブを、ゴルフだけじゃなくて、幅広く地域に愛される場所にしていきたいですね。」

 

最後に、早矢仕さんが普段から大切にしていることについてうかがってみた。

 

「固定概念をもたないことです。先日も会議で「365日新しいことを考えていこう」という話になりました。そうしないと、成長が止まってしまいますからね。ずっと同じことをやり続けるだけでは、同じことしかできません。飽きてしまいます。ですから日々、新しいことを考えるようにしています。」

 

たとえばレストランを、宴会や、法事の食事会で使ってもらうといった構想もあるという。特に人数が多い場合、幹事は場所探しに苦労する。ゴルフ場が選択肢にあるのはありがたいし、意外性があって参加する人の興味を惹きそうだ。

 

養老カントリークラブは、ゴルフ場にとどまらず地域社会に根ざした多機能なコミュニティスペースとしての役割を果たしつつある。ゴルフの枠を超えた取り組みは、多様な顧客層を引き寄せていくだろう。ゴルフが大好きな人はもちろん、これまであまりゴルフをやったことがないという人も、ぜひ注目してほしい。

 

 

 

 

養老カントリークラブ

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