魅力を高める魔法のジュエリーショップ「MAGICO&Dec.」を訪ねてみた。

 

 

TOM
サラ、一番好きな宝石は何?
SARA
ダイヤモンドね。あの輝きにあこがれるわ。トムは?
TOM
僕はトパーズ!蜂蜜みたいでおいそうなんだよね!
SARA
・・・(絶対に持って来ないように気をつけよう)・・・

 

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岐阜市にある「MAGICO&Dec.」をご存知だろうか。
ブライダルリングやブレスレット・ネックレスなど、オーダーメイドのジュエリーを手がける工房付きのお店だ。宝石にかける想いについて、代表取締役社長の長谷川 邦義(はせがわ くによし)さんにうかがってみた。

 

今回のツムギポイント!
  1. ファッション好きが高じてジュエリーの道へ
  2. 20歳で独立、留学後に工房付きのお店を開く
  3. 英国の権威ある資格を取得
  4. 長く愛されるジュエリーを
  5. 宝石を楽しめる人を増やしたい

 

①ファッション好きが高じてジュエリーの道へ

 

まずは「MAGICO&Dec.」の由来について、長谷川さんにうかがってみた。

 

「イタリア語で魔法使いとか、魅力的なという意味です。」

 

長谷川さんは高校卒業後、宝石の専門学校に通った。そして専門学校を卒業するタイミングでこの名前に決めたという。

 

「宝石を通じて、魅力というものを追求したいと考えています。世の中にはさまざまなファッションがあります。センスはひとそれぞれで、『可愛い』『格好いい』の基準は、人によって異なりますよね。その魅力を突き詰めていきたいと思い、この名前にしました。Decはデコレーション(装飾)のことです。」

 

高校の頃から、ファッションが好きだったという長谷川さん。特にアクセサリーに興味があったという。

 

「地元のセレクトショップに行ったときに、とても格好いいアクセサリーがあったんです。自分でもそんなアクセサリーを作ってみたいと思ったんです。自然な流れで進路が決まりました。学年で一番最初に進路が決まりましたね。」

 

インターネットで宝石を学べる場所を探し、一番最初にヒットした学校に進学したと話してくれた。スムーズな進路の決め方に見えるが、宝石に対する好きという思いの強さを感じるお話だった。

 

 

②20歳で独立、留学後に工房付きのお店を開く

 

進学しないことに迷いはなかったのだろうか?

 

「まったくありませんでした。勉強するよりも、手に職を付けたいと考えていましたから。ただ、時計職人とは迷いましたね。ただ、時計の学校は学費がかなり高いんですよ。それで宝石にしました。」

 

長谷川さんは2年間、学校で宝石の技術を学んだ。その後、就職することなくすぐに独立して「MAGICO&Dec.」をオープンしている。

 

「先輩がお店をやってて、その先輩がお店を辞めるので、後に入らないかと言われたので決めました。専門学校を卒業する年の2月ですね。ハコはあったので、自分で家賃を払えば何とかなるかなと思いました。」

 

20歳でお店を経営することになった長谷川さん。大変ではなかったのだろうか?

 

「がむしゃらにやっていたので、大変だとは思いませんでした。仕事も遊びも一緒で、とにかく全力でやるだけですね。」

 

「僕はイタリアのフィレンツェに半年間、短期留学に行きました。留学から帰ってきて、そろそろ彼女と結婚しようと思い、そのためにもきちんとしなければいけないと感じました。」

 

そういった経緯で銀行融資を受け、2014年、2店舗目を柳ケ瀬通りに開店し、株式会社を設立したのだと話してくれた。

 

社会人経験無しの独立からスタートしていることを考慮すると、より一層、長谷川さんのビジネスセンスと長谷川さんが提供するアクセサリーの凄さを物語っている。

 

 

 

 

③英国の権威ある資格を取得

 

宝石の専門学校に通っていた頃は、特に宝石の資格を取っていなかったという長谷川さん。しかし30代半ばで一念発起し、2023年に英国宝石学協会 Gem-A Level4、そして2024年にはダイヤモンドディプロマの資格を取得した。英国宝石学協会は、宝石学の教育機関としては世界で最も権威ある組織だ。民間資格だが、難易度は非常に高く、イギリス政府により学士号と同等レベルの資格と認められているという。

 

 

「2年間で学費は400万以上かかりました。落ちる人もめちゃくちゃ多くて、これは負けられない戦いだなと気合を入れて勉強しました。」

 

どのような心境の変化があったのだろうか?

 

「仕事して、海外旅行に行ったりと、これまでの人生、やりたいことを全てやってきました。そして自分がまだやっていないことは何だろうと考えたときに、浮かんだのが勉強だったのです。勉強して資格を取ることは、10代の頃の自分が一番避けていたことでした。仕事ってアウトプットじゃないですか。インプットが苦手なので、あえて挑戦することにしたんです。」

 

学ぶ内容は、宝石の歴史・種類・特性・鑑別方法など多岐に渡る。更に知識を問われるだけでなく、実技試験もあるのだ。

 

「試験前は朝9時に起きて、翌朝の5時まで勉強する生活を2、3週間くらい続けました。意外と、やればできるんだなということに気づきました。」

 

資格の勉強は、通信教育とスクーリングを組み合わせて行った。

 

「最初はイギリスに行こうかとも思ったんですが、さすがに大変なので日本で学びました。週に2回、東京に通っていたんです。おかげで宝石にめちゃくちゃ詳しくなりました。」

 

宝石について本格的に学んだことで、どのようなメリットが生まれたのだろうか?

 

「宝石について、第三者が発行する鑑定書というものがあります。しかし石の鑑別機関というのは岐阜県内にないんです。例えばお客様がエメラルドの説明を受けても、買う側としてはやっぱり心配になりますよね。そこで第三者機関が『これはエメラルドです』と証明します。ただ第三者機関はほとんどが東京と大阪なんですね。岐阜の人はうちに宝石を持ってきていただければ、お調べしますよ。」

 

ジュエリーは高い買い物だ。できれば失敗したくない。岐阜に宝石の専門家がいればとても心強い。

 

「ただ、天然ダイヤと人工ダイヤについてはうちにあるキットでは見分けがつきません。同じ炭素で、化学組成も同じなんです。ただUV天然ダイヤと人工ダイヤにそれぞれ長波紫外線(Long Wave UV:LWUV)と短波紫外線(Short Wave UV:SWUV)を当てると、色や輝きが異なります。天然ダイヤは青く蛍光するんですよ。何千万もする機械で鑑定する必要があるので、そういったものは提携するラボに送ります。」

 

これだけ詳しいのであれば、何かわからないものも、とりあえず相談すれば分かりそうだ。もし自宅に眠っている宝石があれば、MAGICO&Dec.に持っていってみてはいかがだろうか。

 

 

④長く愛されるジュエリーを

 

宝石の鑑定もできるMAGICO&Dec.だが、メインはジュエリーのオーダーメイドだ。CADでデータを作り、3Dプリンタで出力して鋳造して作成する。長谷川さんだけでなく、スタッフ全員が対応可能だ。

 

ジュエリーの制作にあたって、長谷川さんが楽しいと思えるのはどのようなときだろうか?

 

「やはり、お客様の喜びの笑顔を見ることですね。正直に言って、作ること自体に楽しいとかはあまり感じないんです。もう10年以上ジュエリーを作り続けて、慣れてしまっていますからね。お客様の喜びが楽しいと思える人でないと、この仕事は続かないです。」

 

長谷川さんは、10年以上この仕事をする中で、辞めていく人をたくさん見てきたという。

 

「みんな、僕を見て言うんですよ。俺も何かやろうかなとか、俺もこういうの作ろうかなとか。でもそういう人たちは、みんな辞めていきました。」

 

継続してジュエリーを作り、宝石について学び続けている長谷川さんと、辞めてしまった人たちとの違いは一体何だろうか?

 

「僕の感想ですが、辞めてしまう人は、自分のことしか考えていない人が多かったです。プライドが高くて、自分のエゴが強すぎるんですね。俺はこだわりのものを作りたいとか、売れるものを作るのはダサいとか。そういう人ほど、結局何者にもなれなかったりするんです。誰が一番ダサいのかという話ですね。お客様を喜ばせるのが最優先だと僕は思うんです。」

 

お客様に笑顔になってもらいたいというしっかりした軸があるからこそ、長くジュエリーの仕事を続けられるのだ。

 

 

⑤宝石を楽しめる人を増やしたい

 

長谷川さんの、将来の展望は何だろうか?

 

「お客様にアフターフォローができるように、細く長く、続けていきたいですね。」

 

結婚指輪や高価なジュエリーを買ったお店が閉店してしまった…というのはよく聞く話だ。探せば他の店でもメンテナンスなどはできるだろうが、できれば思い出の店でお直しをしたい。長く続けるというのは大切なことなのだ。

 

長く続けたいと長谷川さんが考える背景には、イタリア・フィレンツェでの留学経験がある。

 

「イタリアには、ドゥオモと呼ばれる教会がたくさんあります。100年以上かかって建築されたものや、中には300年以上かかったものもあります。自分の人生だけでは完成しえないものを作るのって、すごくないですか?完成までに数百年の長い歴史をかけて1つのものを作り続けることに、僕は感動を覚えたのです。また、築150年以上の家に住んでいるなど、ものを大切にする人が多い印象を受けました。古いものをリノベーションして、親から子へ受け継いで、大切に使い続ける文化なのです。その様子を見て、自分も長く愛される店を作りたいと感じました。」

 

MAGICO&Dec.の宝石を、どのような人に身に着けてもらいたいのか尋ねてみた。

 

「親から子に譲られた宝石など、自分の縁を長く大切にする人、それから自分の人生を頑張っている人です。正直、お金のない人に宝石を買ってくれとは言いません。お金がないなら、宝石を買うよりもご飯を買った方がいいですからね。高みを目指す人がいれば、低いままで満足する人も、世の中にはたくさんいます。無理に頑張る必要はありません。低い方が、楽ですし、生きやすいですからね。その価値観を否定するつもりはありません。ただ、MAGICO&Dec.のジュエリーは、高みを目指そうとしている人に届けたいと考えています。」

 

確かに宝石を眺めていても、空腹が満たされるわけではない。しかし確実に自分の人生を、内面から豊かに輝かせてくれるものだ。綺麗事を言わないところに、長谷川さんの誠実さを感じる。

 

最後に、長谷川さんが、課題に感じていることについてうかがってみた。

 

「宝石の知識を持った人を、もっと増やしたいと考えています。無知な人が、その魅力に気づかないまま、安値で宝石を手放してしまう場面を、僕は見てきました。宝石の知識を身に付けてもらって、宝石を身近に感じてもらい、日々の活力になるような宝石の使い方をする人を、もっと増やしたいです。宝石を見て元気を出そうとか、仕事を頑張ろうって思ってもらいたいです。」

 

 

実は長谷川さんは、宝石の鑑定キットの販売を構想しているという。

 

「宝石を学ぶのは、費用がかかります。何百万もの大金を用意できる一般の人はほとんどいません。ブルートパーズとアクアマリンの違いなんて、普通の人は知らないですよね。宝石のことを数十万円で学べるようにしたいんです。」

 

実はすでにトライアルのキットを作って、テストマーケティングもしているという。

 

「世の中が、宝石を学ぶことを求めているのがわかりました。この商売はキャピタルゲインもしやすいのではと考えています。そこでまとまったお金を手に入れて、自分のジュエリーに全振りしたいです。ちょこちょこしたお金で宝石を作っても、世界に残るブランドなんて作れません。20代でジュエリーを極め、30代で経営を学び、40代で勝負したいと考えています。」

 

まさに高みを目指している長谷川さん。現在30代の長谷川さんが、40代になってどんな”魔法”をかけてくれるのか、今からとても楽しみだ。

 

MAGICO&Dec.のジュエリーは、女性だけでなく男性のお客様も多い。

 

普段忙しくてなかなかお洒落を楽しめないという方は、ぜひ自分へのご褒美に、MAGICO&Dec.のジュエリーを手に取ってみてほしい。

 

 

 

 

MAGICO&Dec.

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