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岐阜市にある「喫茶Beees」をご存知だろうか。
週末は夜カフェとスイーツで賑わうカフェだ。今回は代表の髙橋 稜平(たかはし りょうへい)さんにお話を聞かせていただいた。
- コロナ創業、これまでの経緯
- 和風カフェになった理由
- 本格派な夜カフェ営業
- 逆境に打ち勝つポジティブ思考
- 今後の展望・叶えたい夢
①コロナ創業、これまでの経緯
早速ではあるが創業の経緯を尋ねてみた。
「元々自分のお店を持つのが夢だったんです。お店で働いて経験を積んでいずれは独立したいっていうのがあったんです。なので、スイーツカフェの専門学校に入学して学びました。卒業後は飲食店や喫茶店、あとはコーヒーの勉強に行かせていただいたりっていう感じで修行を積んでました。そろそろお店を構えようかと思っていた時にコロナ禍になったんです。皆さん外に出れず何も出来ない事にストレスを感じていると聞いて、『それならキッチンカーで皆さんのところへ自分から届けに行こう!』と思ったのがきっかけですね。創業時が22歳でしたので、こんなにも早く独立するとは思ってなかったんですけど。」
学校を卒業してから創業されるまでについて話してくれた。コロナ禍で困っている人が多いと耳にして、その人たちのために創業を決断したという。創業に至ったエピソードだけでも髙橋さんの素敵なお人柄を感じられる。
店名の由来を尋ねてみた。
「喫茶Beeesはビーズと読むのですが、蜂のビーから取っています。最初はドリンクメインのキッチンカーで始めたので、蜂のように甘いものを運ぶというコンセプトで蜂になりました。ロゴも蜂がトレードマークですね。」
蜂のイメージから決めたのだと話してくれた。デザイン関係までご自身で考えられたのか気になり聞いてみた。
「専門学校時代の友人にデザイン関係が好きな友達がいたんです、デザイン全般はその友達にお願いしてやってもらっています。蜂の巣に見立てた六角形の表現などはアドバイスしてもらって決めました。」
自分の表現したいものを伝え、友人と共にデザインを完成させたのだそうだ。実際キッチンカーの模様として使われている六角形がその一つだという。蜂の巣をイメージさせる六角形はコンセプトの蜂とマッチしていて凄く良いデザインだ。
髙橋さんは元々カフェやスイーツがメインだったのか尋ねてみた。
「学生時代はスイーツ&カフェ専門学校っていう、カフェの独立や開業に必要な知識を学ぶ学校に通っていました。がっつりの飲食ではなく料理は様々なジャンルを広く学びました。そこでスイーツや料理も学んだという感じです。」
当時からスイーツとカフェをメインに考えていたのだと話してくれた。それが現在、Beeesの強みとも言えるスイーツに繋がっているのはすごい。
②和風カフェになった理由
Beeesはキッチンカーとして創業し、コロナが落ち着いてから実店舗をオープンしている。現在の営業形態について尋ねてみた。(2024年2月時点)
「実店舗を始めてからはそちらに集中しているので、キッチンカーは今はちょっとお休み状態です。」
現在は実店舗だけだと話してくれた。軌道に乗るまでは店舗一筋でやっていくつもりだという。キッチンカーから実店舗を持つことにした理由を伺ってみた。
「コロナがなければ最初から実店舗で独立を目指していたんです。また、今の店舗の場所はキッチンカーの創業当時からキッチンとして使っていて、スイーツのストック置き場兼調理する場所だったんです。場所は既にあったので、コロナも落ち着いてきてタイミングを見て実店舗をオープンしました。」
キッチンカーはコロナ禍だったからこその手段であり、元々実店舗を持つという夢を叶えただけだと話してくれた。実店舗に切り替えたことによる変化について聞いてみた。
「やはり、お客様を呼び込むという点において、かなり苦労と不安が伴いました。やってみて思った事ですが、実店舗を持つよりキッチンカーの方が集客の効率はいいかなって思います。」
キッチンカーに比べ実店舗の集客の厳しさを感じているのだと話してくれた。確かにキッチンカーでは人が集まる場所へ行ける分、集客の課題は少ないのかもしれない。
実店舗のコンセプトに和風カフェを選んだ理由を尋ねてみた。
「ここの店舗の以前のオーナーが割烹料理屋さんだった事もあり、このお店はもともと雰囲気が和風だったんです。この雰囲気が好きだったので和風に合わせていったっていう感じですね。移動販売の時は全く和風ではありませんでした。ザ・コーヒー屋っていう感じだったので随分雰囲気は変わりました。」
実店舗オープン時に、大きくコンセプトを変えたのだと話してくれた。元々あった箱庭を活かすなど、DIYで店舗の元々の雰囲気を活かすように改装もされたのだという。現在の実店舗は出来上がるまでに色々なストーリーが詰め込まれてきた素敵な空間だ。
③本格派な夜カフェ営業
Beeesの営業時間について尋ねてみた。
「喫茶店によくあるモーニングはやっていないんです。基本的に昼から夜の23時までやっているのですが、夜カフェが非常に好評なんです。夜遅くまでゆっくり出来る場所ということで結構需要があるみたいで、多くの方にご来店いただいております。」
モーニングではなく夜カフェを選んだ理由を聞いてみた。
「ユーザーとしてモーニングに行くのは好きなんですけど、自分でやる必要があるのか疑問だったという事と朝が早いのが苦手だったこともあって夜カフェをやってみることにしたんです。モーニングはどこの店舗でもやっているので、既にあるところで十分だと考えていました。今思えば良い戦略だったのかなって思っています。」
自分にとって効率が下がる要因と、ライバルを避けることを同時に実現していることからも、凄く良い戦略というのは間違いなさそうだ。人気メニューについても尋ねてみた。
「スイーツ系は全部手作りしています。中でもカヌレ羊羹というのがあるのですが、和の羊羹と洋のカヌレを合わせたスイーツがとても人気ですね。フードではカレーがご好評をいただいています。ルウから手作りした、他では食べられないカレーを提供しています。」
スイーツとフードそれぞれの人気メニューについて話してくれた。特にカレーは和風出汁や梅酒を使うなど、とてもこだわり抜いたカレーなのだと話してくれた。
「今、力を入れていることが大きく2つあるんです。1つ目は和の素材を使ったスイーツです。自分は“和スイーツ”って呼んでますけど、今だとほうじ茶を売り出していて、その中でもパフェやショコラテリーヌが大人気です。」
「2つ目はジェラートを使ったスイーツを出させていただいていることです。ジェラートは岐阜市美園町にあるラコントさんから仕入れて使わせてもらっています。」
独自性のあるスイーツを提供していることが強みだと話してくれた。ラコントさんとはキッチンカーを出店した際に知り合い、色々話し合って仕入れが出来るようになったのだという。実店舗を持つ時に決めた和風のコンセプトと、キッチンカー時代の人とのつながりが今に繋がっている。どちらも髙橋さんのBeeesだけの強みで、これまで積み上げてきたことが形になって残っているのはすごい。
Beeesのこだわりについて伺ってみた。
「食材や材料には岐阜県産のものを積極的に取り入れるようにしている事と、手作りにこだわっています。コーヒーはスペシャリティコーヒーっていう生産者や品種などがしっかり管理された、いわゆるグレードの高い豆を仕入れて自分で焙煎して提供しています。」
素材からこだわり、手作りも徹底しているのだと話してくれた。夜にやっているカフェでかつ、かなりの本格派だという点は凄く魅力的だ。夜にゆっくり過ごせてスイーツも美味しいカフェにいきたい時は、ぜひ利用してみたい。
④逆境に打ち勝つポジティブ思考
仕事をしている中で楽しいところを尋ねてみた。
「技術とは別の経験も積めるっていうことが楽しいですね。キッチンの人は作るだけだったりホールの人は接客だけだったりというような、何か一つの作業ではなく色んなことに挑戦できるっていうことは独立して自分で全て出来るからこその醍醐味だと思います。」
髙橋さんは全て自分でやっている。料理から、経営や集客などまで全てを楽しめているのだと話してくれた。
「全て自分の思うようにできるのは楽しいですが、やはり売上をあげないと生活が出来ないので、楽しいことばかりではないですね。お店を23時で閉めた後に片付けや次の日の仕込みや経理とかしていると家に帰るのが3時とか4時とかで、そのスケジュールの中で買い出しもするのでやはり体力的には大変です。」
お店が23時までではあるものの、家に帰れるのが非常に遅く、日中しか出来ない仕入れをそのスケジュールに組み込むのだと話してくれた。必然的に買い出しは午前中になり、自宅へ帰る時間を考えるとかなりのハードスケジュールだ。
「最近だとインスタグラムに力を入れたいと思っているので、仕込みの後にインスタ用の動画も自分で作成して試行錯誤もしています。」
SNSもご自身でやるのだと話してくれた。それも含め全て楽しいことなのだという。大変なことでも多くの経験を積めているとポジティブに捉えて、楽しめている髙橋さんの姿勢を見習いたい。
⑤今後の展望・叶えたい夢
お店の今後の展望を尋ねてみた。
「まずは店舗を営業しながらキッチンカーも動かせるような状況にしたいと思っています。難しいかもしれませんが、将来的には夜のみの営業で行けるぐらいになれたら一番良いかなって考えています。それから移転や多店舗展開もしていきたいですね。」
和風以外をコンセプトにした店舗展開も視野に入れて、様々なスタイルで夜カフェを打ち出して行きたいのだと話してくれた。
髙橋さんは現在25歳と非常に若い。(2024年2月時点)そんな髙橋さんに将来叶えたい夢を聞いてみた。
「夢っていう部分では、喫茶店をテーマとした商業施設を作りたいんです。よくラーメンだと横丁などがあったりしますが、あれの喫茶店バージョンです。岐阜と愛知はモーニング文化が根付いているので喫茶店のテーマパークみたいな場所があったら面白そうだからやってみたいと思っています。」
将来の夢を話してくれた。言われてみれば確かに、無い事が不思議なくらいモーニング文化は岐阜県と愛知県にとって深く根付いている。様々なモーニングが一箇所で楽しめたり、いろいろなコンセプトの喫茶店を一挙に巡れる場所があったらとても面白そうだ。ぜひ叶えて欲しいと感じた。
モーニング文化の根強い岐阜でも、夜カフェで賑わうBeees。これから岐阜のカフェ業界にどのような風を吹かせるのか楽しみだ。