旬の食材を使い地域の健康をおいしく支える「薬膳カフェみずとき」を訪ねてみた。

TOM
薬膳っていうから、苦いのかなと思ったけど、おいしいね!
SARA
そうね。定期的に食べたら身体の内側から健康になれそうね。
TOM
よーし、毎日いっぱい食べて健康な体をめざすぞー!!
SARA
・・・いつも食べ過ぎなのよ・・・適量にしなさいよ・・・

 

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岐阜市にある「薬膳カフェみずとき」をご存知だろうか。
薬剤師が監修した身体を優しくいたわる料理を楽しめるお店だ。事業アイデアの源泉や人生を健康に生きるためのヒントについて、代表取締役であり、薬剤師でもある大橋 千加(おおはし ちか)様にお話をうかがった。

 

 

今回のツムギポイント!
  1. 人生100年時代を健康に生きるために
  2. 実体験に基づいた事業アイデア
  3. 食べることだけでなく人に会うことも大切
  4. 旬と地産地消、そして味にこだわった薬膳カフェ
  5. お客様だけでなくスタッフのやりたいことも叶える薬局

 

 

①人生100年時代を健康に生きるために

 

薬膳カフェみずときは、平成調剤薬局に併設しているカフェだ。「美味しく頂きながら身体を整える」をテーマに掲げている。まずは薬膳カフェみずときの名前の由来について、大橋社長にうかがった。

 

「みずとき」は、古代中国から続く自然哲学である、五行思想から来ているという。万物は「木・火(太陽)・土・金・水」の5つの元素で成り立っているという考え方だ。

 

「五行の中の水と木から取りました。「みずとき」のマークは葉っぱで、葉脈で水と木の字を表しています。葉は食材になり、生薬や漢方になり、やがて西洋医学の元になりました。私たちの根源は食にあるということを伝えたくて、この名前にしました。」

 

薬膳カフェみずときは、平成調剤薬局の中の一事業だ。平成調剤薬局は、薬局だけでなくカフェやレストランと幅広く事業を展開している。どのような想いがあるのだろうか。

 

「身体の内側から健康になることが、大切だと伝えたかったからです。薬を飲む必要がある身体になる前に、まず身体を整えるべきなんです。今後、皆さんの寿命は、望む・望まないにかかわらず、100歳を超えてくるでしょう。健康でいる期間を少しでも長くするためにも、若いうちから自分の身体を整えた方がいいのではないかというメッセージを込めています。」

 

そのように考えるのは、大橋社長が介護事業も手掛けていることも大きい。

 

「長い人生、健康でいられる時間が長い方が、本人にとっても家族にとってもとても助かることなのだというのが、実体験としてあります。病気になってから何とかしようとするのではなく、病気になる前にできることをやってほしいんです。」

 

薬膳カフェみずときは、薬局と併設しているのが大きな特徴だ。そのおかげで、カフェに立ち寄った帰りに薬剤師さんに相談したり、逆に薬局を訪れた後、身体によいご飯を食べるといった相乗効果がある。

 

「私たちは調剤薬局以外にも、漢方相談や薬膳講座を実施しています。町の薬屋さんとして何でも相談してください、わかることなら答えますよという姿勢でいたいという想いがあり、それを実践できる場所として作ったのが、薬膳カフェみずときなんです。」

 

薬膳料理というと「値段が高いのでは?」と尻込みする人もいるかもしれない。しかし薬膳カフェみずときでは、リーズナブルさを大切にしている。

 

「値段が高いと、やはりお客様は来てくれないですよね。「身体によいものを食べた、よかったな」と、1人でも多くの人に実感してもらいたいんです。ですから値段をできるだけ抑えて、学生さんでも食べられる値段設定にするというのを絶対条件にしています。毎日となると大変なので、週に1回、自分の体を綺麗にする日を作りませんか、というのもコンセプトの一つです。」

 

 

②実体験に基づいた事業アイデア

 

 

大橋社長はさまざまな事業のアイデアを生み出し、かつ実行に移している。ゼロからイチを創出する、まさに起業家だ。たとえばレストラン「薬養軒」や、岐阜県初のドライブスルー薬局も大橋社長のアイデアだ。

 

「その当時は、生まれたばかりの我が子を抱えながら仕事をしていました。薬局の狭いところに赤ちゃんを連れていきたくなくて、でも車に置いて薬をもらいにいく事も出来ないって困っていたんです。そこでドライブスルー形式を思いついて導入したんです。今では、お子さん連れだけでなく、高齢者の方など、さまざまな人にご利用いただいています。」

 

アイデアの源は、基本的に大橋社長の実体験だという。

 

「介護施設は母がきっかけでしたし、託児施設を作ったのもスタッフがきっかけでした。預け先がないから、育児休暇を1年から1年半に延ばしてほしいと言われたんです。スタッフの話を聞くとかなり困っている事がわかり、それならうちで作ろうということになりました。」

 

自分の目の届く範囲にお子さんがいることで、安心して働ける。スタッフの定着率も良いという。

 

「社会的には少子化が問題になっていますが、うちのスタッフは育児休暇を取る人が多いんです。育児休暇から復帰してくれる時には、必ず席を空けるようにしています。もちろん、様々な理由から退職を希望される方もいらっしゃいますが、うちはほぼ復帰してくれています。これも社会貢献の一つだと考えています。」

 

大橋社長の会社では「SDGs」への取り組みもしている。特に女性スタッフが働きやすい職場なのだ。

 

 

 

 

③食べることだけでなく人に会うことも大切

 

平成調剤薬局の事業は、生まれたときから、やがて誰にでも訪れる最期のときまで寄り添うのが特徴だ。介護施設と託児施設の両方がある強みを生かし、コロナ禍の前は交流も盛んだったという。

 

「おじいちゃんやおばあちゃんが、子どもたちの顔を見ると、すごく喜ぶんですね。子どもたちの声を聞くだけで元気になると言っていました。子どもたちには、目に見えないパワーがあるんですよね。」

 

ただ、コロナ禍でその交流は中断。コロナ禍が明けたといわれる2024年になってからも、交流は復活していない。

 

「おじいちゃんやおばあちゃんが託児施設に来て、顔を見てもらうことはありますが、子どもたちの方から高齢者の施設に行くことはなくなりました。高齢になると免疫力がガクッと低下してしまうので、面会には慎重になってしまいますよね。」

 

薬膳カフェみずときには、高齢の方も多く訪れるという。免疫力を付けられる場所が「みずとき」ということだろうか。そう尋ねると大橋社長は首を横に振った。

 

「高齢になると、食事だけで何とかしようとするのは難しいですね。外に出る、人と話す、家族と会う、大切なのはバランスなんです。」

 

面会を希望する家族には検査を行い、30分で2人までと厳しく制限している。入居者とその家族を大切に思えばこその苦渋の決断。早く高齢者と子どもたちが触れ合える日常に戻ってほしいと願うばかりだ。

 

 

 

 

④旬と地産地消、そして味にこだわった薬膳カフェ

 

薬膳カフェみずときの強みは、食材にこだわっていること、薬剤師が監修していること、見た目が美しいこと、そして何よりも味にこだわっていることだ。薬膳について、「苦そう、味がなさそう」とマイナスの印象を持っている人も多いのではないだろうか。

 

「まずかったり、食べにくかったりするようでは、薬膳料理の習慣がつかないですよね。ですから、その食材をおいしく使うことが絶対条件です。薬膳というだけでハードルが高いので、そこを取っ払いたいと考えています。」

 

「良薬は口に苦し」という孔子のことわざは有名だが、みずときの薬膳料理には当てはまらないのだ。

 

「薬として飲むときは苦くても仕方ないと思えますが、食事が苦い、まずいではストレスになってしまいます。それではかえって身体によくありませんよね。ですから、薬膳であってもおいしくというのが、創業時からのコンセプトです。食べただけですぐに効果が表れるというものではありません。効果や効能を求めるなら、薬や漢方がありますからね。それよりは、心と身体を整えるのが目的です。」

 

特に大切にしているのが「旬」と「地産地消」の2つだ。

 

「旬のものは栄養価が高いですよね。かつ、安いですし。それに、生まれた土地でできたものを食べるのが、健康に良いとされています。岐阜で生まれた人なら、岐阜で生まれた水を使い、岐阜の土で獲れた作物を食べるのが良いという考え方に基づいています。」

 

大昔の仏典に由来する、身土不二(しんどふじ)という言葉がある。「身体(身)と環境(土)は切り離せない(不二)」という意味だ。この身土不二を実践しているのが薬膳カフェみずときなのだ。さらに、料理の見栄えにもこだわっている。

 

「写真を撮りたいと思える料理を提供しています。五行にはそれぞれ青・赤・黄・白・黒の色があります。やはり色が合った方が綺麗ですし、目でも味わえますよね。おいしそうに見えて、かつおいしい料理でないとダメだと考えています。」

 

かなり料理のハードルが高そうだが、どのような人たちが作っているのだろうか?

 

「薬養軒はもともとイタリアンのシェフが作っています。みずときは和食のシェフが作っています。二人ともプロの料理人です。原材料費の制限がある中で、様々なメニューも考えてくれています。」

 

では、料理は完全に2人のシェフにおまかせなのだろうか?

 

「もちろん最終的にジャッジを下すのは私です。私が食べて、おいしくないときは、きちんとおいしくないと伝えます。あくまでもお客様の目線でジャッジします。シェフがどれだけ苦労してその料理を作ったかは知っていますが、お客様がおいしいと思える物を提供する為です。これは会社経営でも同じです。」

 

このプロフェッショナルな視点こそ、複数の事業を長く経営する秘けつなのかもしれない。

 

 

 

 

⑤お客様だけでなくスタッフのやりたいことも叶える薬局

 

既に手広く事業を手がけている大橋社長だが、今後どのような事業を展開したいと考えているのだろうか?

 

「いろいろあります。今考えているのは薬局とカフェを融合した移動販売車です。北陸の地震のときに、要請があってうちの職員がボランティアへ行きました。そのときに、もし自分の近くで地震があったときに、移動販売車があればいいなと思ったんです。また、災害時に限らず、ご高齢の方や移動手段のない方、コロナ禍の環境など、お店に行きたくてもいけない人たちのために、OTC医薬品(薬局やドラッグストアなどで医師の処方箋なしで購入できる市販薬)や、温かいご飯を運べたらいいなと考えています。」(取材時:2024年2月)

 

移動販売車に同乗するのは、必ずしも薬剤師である必要はない。今の時代、iPadなどを使いリモートで服薬の相談が可能だ。現在は少しずつこの構想を進めているという。

 

大橋社長は新しいことをやるときに「お客様や地域の人を喜ばせられるか」そして「スタッフの力を活かせるかどうか」を重視している。

 

「常に考えているのが、スタッフ1人1人が、何をすると一番輝いていけるかということです。入社のときには何をやってみたいかをできるだけ聞くようにしています。1年後、2年後、数年後になるかもしれませんが、そのときの約束は守るようにしています。」

 

最後に座右の銘をうかがった。

 

「会社としての座右の銘は 「頼まれたら断らない。できることは、精一杯」です。常にそう考えて仕事をしてきました。あとは『どうせやるなら楽しんでいこう』です。もちろん仕事ですから、我慢しなければならないことも出て来ます。でもその先に「ああ、良かった」と思えることがあるはずだとスタッフに伝えていますし、自分にも言い聞かせています。」

 

大橋社長の話で印象的だったのは、身体を整えるには食事だけではなく、外に出て人と話すのも大切だということだ。おいしい料理を食べると、「これ、おいしいね」と笑顔がこぼれ、自然と会話が生まれる。だからこそ大橋社長はカフェやレストランという業態を選んだのだろう。移動販売車が実現すれば、ますます多くの人を笑顔にできるに違いない。健康に不安を抱える人も、自信がある人も、ぜひ大切な家族や友人と一緒に薬膳カフェみずときを訪れてみてほしい。

 

 

 

 

 

薬膳カフェみずとき

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