地産地消、岐阜の魅力をぎゅっと詰め込んだ「おにぎりと豚汁 つつむ」を訪ねてみた。

TOM
今日は長良公園でデート♡ で、僕が作るって約束していたお弁当なんだけどさ…。
SARA
(作ってくれるのは嬉しいんだけど、毎回焦げ焦げで気乗りしないのよねぇ…)
TOM
実は寝坊して作れなかったんだ。「つつむ」のおにぎり買ったから!ゴメン!
SARA
残念だけど「つつむ」のおにぎりなら許してあげる!(助かった~!)

 

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岐阜市にある「おにぎりと豚汁 つつむ」をご存知だろうか。
地元の食材をふんだんに使ったおにぎりと豚汁を提供するお店だ。今回は代表取締役の谷口 安正(たにぐち やすまさ)様にお話をうかがった。

 

 

 

今回のツムギポイント!
  1. 温かく身体に優しいごはんを提供
  2. お米や味噌、岐阜の恵みをおにぎりと豚汁に
  3. おいしく健康に、ふるさとの味を次の世代へ
  4. キッチンカーで広がる「つつむ」の魅力

 

①温かく身体に優しいごはんを提供

 

「おにぎりと豚汁 つつむ」は「おにぎりでお腹と心を満たす」をコンセプトにしたお店だ。ひとつひとつのおにぎりが愛情をこめてふっくらとしており、食べると優しい気持ちにさせてくれると、ファミリー層に特に人気のお店だ。

 

まずは代表取締役である谷口さんに、「つつむ」の由来についてうかがってみた。

 

「この場所で、温かい気分につつまれてほしいというのが由来です。生まれたばかりの赤ちゃんを柔らかい布でつつむようなイメージです。真心を込めて作りますという想いを込めています。」

 

そんな「つつむ」の代表取締役を務める谷口さん。もともと別業種の会社を営んでいるなかで、なぜ、飲食業にチャレンジしたのだろうか。

 

「調理師免許を持っていたからです。僕は大学時代に飲食店でアルバイトしていて、調理師免許を取得しました。しかし先輩たちに『調理の仕事は大学を出てやる仕事ではない』と言われたんです。尊敬する先輩にそう言われるならやめようと思い、準公務員になったんです。」

 

そこから約10年弱、準公務員として勤務した谷口さん。しかしその仕事はあまり肌に合わなかったようだ。

 

「肌にあわなくて、いつかやめようと考えていました。当時準公務員としてコンピューターの仕事をしていたのですが、大手の取引先から『うちの下請けをやらないか?』と声をかけられて独立したんです。」

 

しかし2008年にリーマンショックが発生。その会社を東京の会社に売却した。その後の10年間は中古車販売業をしていたという。

 

「ニュージーランドをメインに貿易をしていました。しかし今度はコロナでニュージーランドがロックダウンし、仕事が全くなくなってしまったんです。日本からの輸出をメインにしていたニュージーランドから輸入を試みましたが、日本製の方が安くて品質がよく、日本で売れそうなものが、マヌカハニーぐらいしかなかったんです、そこに円安が進みこのままでは日本のいい物が買いあさられ、日本人が買えなくなると思い、地産地消を意識するようになりました。日本や岐阜には安くてもいいものが沢山あると再注目するきっかけになり、飲食事業を始めたんです。」

 

安定した仕事をやめて独立し、リーマンショックやコロナの危機を乗り越えてきた谷口さん。そしてコロナ禍の中でもソーシャルディスタンスを取って楽しめる「公園」に持っていける、おにぎりを新たなビジネスにした。どのような経験も、決して無駄にはならない。谷口さんの場合、大学生時代に取った調理師免許と経験が、めぐりめぐって「つつむ」につながったというわけだ。

 

「つつむ」は立地が良い。長良公園のすぐ近くにある。公園で遊ぶ前や、元気いっぱいに遊んでお腹が減ってから立ち寄れる。しかもおにぎりだから青空の下で気軽に食べられる。最初からおにぎりをターゲットにしていたのかと思いきや、意外な答えが返ってきた。

 

「実はもともとラーメン店も視野に入れていました。現在の店舗に行き着くまでに紆余曲折あり、この場所にお店を構える事にしました。」

 

なぜ最終的にラーメン屋ではなくなったのだろうか?

 

「最初はラーメン屋のつもりだったのですが、スタッフを集めて会議をしたところ、おにぎりが良いのではないかという話になりました。ただ今の「つつむ」でも、ラーメンを提供しています。ただ、つつむのラーメンは八百津の醤油をベースにした身体に優しいものを提供しています。」

 

 

 

②お米や味噌、岐阜の恵みをおにぎりと豚汁に

 

つつむの強みは立地だけではない。地産地消にこだわっている点だ。ほとんどのメニューで、岐阜県産のものを使用している。

 

たとえばお米は季節に合わせて2つの品種をブレンドしているが、そのひとつに「ハツシモ」がある。ハツシモは岐阜県の代表的な米で、主に岐阜県でしか栽培されていない珍しいお米だ。収穫量が少ないので「幻の米」とも呼ばれている。

 

「さすがに鮭や明太子などの海産物の具は、岐阜県産にはできないんですけどね。すべてではありませんが、なるべく岐阜のものを使いたいと考えています。」

 

おにぎり屋さんはいくつかあるが、地産地消と豚汁との組み合わせも大きな特徴だ。豚汁も谷口さんのアイデアによるものだろうか?

 

「いえ。つつむの立ち上げメンバーの中に内装をコーディネイトしてくれた女性がいて、彼女のアイデアです。僕は「ラーメンとおにぎり」が良かったのですが、彼女が「絶対におにぎりと豚汁だ!」って譲りませんでした(笑)。」

 

そんなこだわりの豚汁だが、岐阜加茂郡にある東白川村の田舎味噌を使っている。

 

「味噌屋さんが自家栽培でつくった豆を使った味噌です。どこか懐かしい味がします。最初は道の駅で買っていたのですが、村役場に電話して、味噌屋さんを紹介してもらいました。東白川村は交通の便があまりよくないのですが、東白川村はお味噌に限らず、いろいろな食物がおいしいところです。僕は東白川村に縁もゆかりもないですが、うちをきっかけに再注目してほしいという気持ちがありますね。スタッフの皆にも美味しいと言われて、納得してもらえたので、この味噌を使うことに決まりました。」

 

なぜ、地産地消にこだわっているのだろうか?

 

「正直、地産地消にこだわっているわけではないんです。ただ、岐阜が好きだけど、進学や結婚などで県外に出た人は多いですよね。そのような人たちが、岐阜が恋しくなって帰ってきたときに、岐阜を感じられる物を食べられないのは寂しいじゃないですか。だから、うちに来てくれてホッとしてくれたらいいなと思っています。結果、地産地消になっているんですけどね。全てではないですが、おにぎりを載せる器も美濃焼なんですよ。」

 

器まで岐阜にこだわっている。もちろん、地産地消だから何でもよいというわけではない。

 

「岐阜といえば、飛騨牛が思い浮かぶ方も多いと思います。しかし飛騨牛は多分、東京でも食べられますよね。」

 

有名かどうか、高級かどうかではなく、岐阜でしか食べられないものに価値を見出し、スポットライトを当てているのが「つつむ」なのだ。

 

 

 

 

③おいしく健康に、ふるさとの味を次の世代へ

 

老若男女問わず、たくさんの人が訪れる「つつむ」。おにぎりと豚汁を一番届けたいターゲットは、誰になるのだろうか?

 

「子どもたちです。子どもたちが進学などで岐阜を離れたあと、『岐阜に帰ったらつつむに行きたい』と言われるようなお店を目指しています。」

 

その一環として、つつむには「こどもセット」がある。おにぎりも豚汁も、大人よりちょっと少ないけど、大人と同じサイズ。親御さんの意見をもとに「大人と同じものを食べられる!」という喜びや成長を感じられるものになっている。

 

「おにぎり屋さんをやってみて気付いたのですが、子どもたちっておにぎりがすごく好きなんですよね。ですから、親御さんが「子どもに食べさせたくない」と思うような材料は使わないようにしてます。」

 

 

 

 

「つつむ」の人気メニューを教えてもらった。

 

「卵黄醤油と、炙り明太ですね。どちらもテイクアウトをお断りして、その場でしか食べられないものです。」

 

卵黄醤油おにぎりは、黄金色の卵黄を一晩醤油に漬け込むことで、旨味がぎゅっと凝縮し、深みのある味わいを生み出している。炙り明太は、直火で焼いた明太子が特徴。プチプチした食感も楽しく、香ばしい匂いが食欲をそそる一品だ。彩りもよく、どちらもランキングで1、2を争う大人気の商品だ。

 

 

 

 

さらに「つつむ」の新たな目玉として、2024年2月からソフトクリームの販売をスタートしている。

 

「池田町にある棚橋牧場様からソフトクリームを提供していただける事になりました。届けたいターゲットが子どもたちなので『牛乳をもっと飲もう!』という想いを込めて提供しています。」

 

棚橋牧場の牛乳は、濃厚な味わいとコクのある風味が特徴だ。乳牛にストレスを与えない飼育環境と、良質な飼料へのこだわりによって実現している。また、搾乳から加工までを自社で一貫して行っていることで、鮮度と品質を保っている。そんな棚橋牧場のソフトクリームを長良公園で食べられるなんて、ますます公園通いが楽しくなりそうだ。(TSUMUGI.LIFEに「棚橋牧場様」の記事あり)

 

 

 

 

④キッチンカーで広がる「つつむ」の魅力

 

谷口さんの今後の展望は何だろうか?

 

「ソフトクリームも味噌もそうなのですが、これからも岐阜で頑張っている生産者さんとつながって、「つつむ」を通じてお客様に紹介していきたいと考えています。」

 

谷口さんがそのように考えたきっかけは、コロナだったという。

 

「もともと中古車販売を仕事にしていたこともあるくらい、僕は車が好きなんです。コロナで岐阜県外に出られないときに、岐阜県内をあちこち車で走っていました。」

 

確かに、コロナ禍の頃は県外から来た、あるいは県外に行ったというだけで、周囲から白い目で見られるような状況だった。ギスギスして閉塞感が強く、暗いイメージがつきまとうが、谷口さんはそんなコロナ禍を逆手にとって「岐阜」を楽しんでいたというわけだ。

 

「県内のドライブをきっかけに、いろいろな道の駅があることを知りました。そして道の駅の虜になったんです。つつむでは中津川のあじめ胡椒を使っていますが、これも道の駅で出会ったんですよ。」

 

調味料も、もちろん岐阜県産というわけだ。ただ、どうしても店舗だけでは届けるのに限界がある。しかしそこで断念する谷口さんではない。

 

「実は、キッチンカーを買ったんです。キッチンカーでお出かけして、岐阜のいいものを紹介したいと考えています。たとえば名古屋方面に行きたいですね。名古屋の人に岐阜の良さをもっと知ってもらって、ドライブでこちらに来てもらうのが目標です。まずはテイクアウトで食べてもらって『おいしかったから、次は頑張ってお店に行こうかな』と思ってもらえると嬉しいですね。」

 

そう、つつむには卵黄醤油や炙り明太など、お店でしか食べられない人気おにぎりがあるのだ。県外の人たちがおいしいおにぎりを求めて岐阜へ来るなんて、考えただけでワクワクする。

 

「実はテイクアウト用と店内用で、海苔も変えているんですよ。これもうちのこだわりの一つなのですが、店内では僕が一番おいしいと思っている海苔を使っています。」

 

海苔ひとつとっても、かなりこだわりと手間暇をかけていることがわかる。

 

「宮城県産の寒流のりというもので、歯切れが良く噛みやすいのが特徴なんです。ただテイクアウトで時間が経つとベタベタになってしまうので、店内でしか使えません。テイクアウト用は有明産の海苔です。こちらは冷めてもべたつきにくいんですよ。」

 

店内とテイクアウト、両方の海苔を食べ比べてみるのも楽しそうだ。

 

 

 

 

最後に、座右の銘についてうかがった。

 

「あまり言いたくないんですが「いい加減」です。適当という意味ではなく「良い加減」で、気張りすぎないようにというのを常に意識しています。他人を気にしたら負けですから、他人に左右されずに「良い加減」を目指したいです。」

 

たとえばもし岐阜にこだわりすぎるような人だったら、大人気の「炙り明太」は生まれなかっただろう。海苔も使わない裸のおにぎりになったかもしれない。この岐阜にこだわりすぎない「良い加減」こそが「つつむ」の魅力といえる。

 

「つつむ」はきっと、地元の子どもたちにとって、帰りたくなる故郷のようなお店になるだろう。次の週末、もし晴れたらぜひ「つつむ」のおにぎりを持って、長良公園にお出かけしてみてはいかがだろうか。

 

 

 

 

 

 

おにぎりと豚汁 つつむ

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