岐阜県産の良質な食材にこだわる「自然派料理店 糧」を訪ねてみた。

 

 

TOM
自然派料理店って、どんなお店なんだろう?
SARA
岐阜県産の良質な食材にこだわった、カジュアルフレンチが楽しめるお店みたいよ。
TOM
僕の自慢の自家製はちみつも使ってくれるかなあ?
SARA
・・・それはどうかしらね・・・

 

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岐阜市にある「自然派料理店 糧(カリテ)」をご存じだろうか。
2021年11月にオープンした、岐阜県産の食材にこだわった料理を提供するカジュアルフレンチのお店だ。今回は、オーナー兼シェフの中根 正貴(なかね まさたか)さんにお話をうかがった。

 

今回のツムギポイント!
  1. 店名に込められた想い
  2. 国内外での多様な経歴と、開業のきっかけ
  3. 食材へのこだわり
  4. 若い世代を育て、受け継いでいくことが使命

 

①店名に込められた想い

 

築100年を超える歴史ある建物をリノベーションした店内には、梁や天井など昔ながらの趣を残しつつ、開放的な大きな窓に、木のぬくもりが感じられるオシャレな内装が広がる。岐阜県内で大切に育てられた無農薬の野菜、無投薬のお肉や魚をふんだんに使用したカジュアルフレンチを楽しめるお店だ。

 

実際に料理に使われている無農薬野菜などのほか、パティシエである奥様の手作りのお菓子やケーキもテイクアウトできる。まずは、「糧(カリテ)」という店名に込められた想い、由来についてうかがってみた。

 

「岐阜県産の良質な食材にこだわっているということと、生産者様を応援したいという想いを込めて、この名前をつけました。僕の原点がフランス料理ということもあり、フランス語で「質」という意味の「qualite(カリテ)」とかけて、あえて昔の読み方にしてみました。」

 

「生活を維持するための食物」や「精神・生活を豊かにし、力づけるもの」を意味する『糧』と、フランス語で「質」を意味する『qualite』を掛け合わせた、とても奥の深い名前ということがわかった。フレンチのシェフである中根さんならではの発想だ。

 

 

 

②国内外での多様な経歴と、開業のきっかけ

 

これまで、本場フランスで修業を積み、名古屋や岐阜市内の有名店でシェフを務めたほか、国内外での店舗の立ち上げやプロデュースに携わってきた中根さん。独立・開業に至るまでの経緯をうかがってみた。

 

「当時すごく人気のあったフランス料理の有名店でイチから基礎を学んだ後、本場フランスに留学し、2年間現地で腕を磨きました。帰国後は名古屋のビストロで長年シェフを務め、その後はレストラン立ち上げのお手伝いやプロデュースをメインに行なっていました。」

 

「およそ8年前、新店舗の立ち上げ依頼をきっかけに岐阜を訪れたのですが、いろいろな出会いやご縁があり、岐阜の食材の魅力をもっと多くの方に発信したいという想いから、『糧』をオープンしました。」

 

お店のプロデュースを通して多くの方と関わる中で、無農薬栽培や無投薬飼育で大切に育てる生産者様の思いや食材の魅力に触れ、料理を通してたくさんの人に知ってもらうことで、生産者様の応援と、地域への貢献・還元をしたいと思うようになったそう。

 

「ふと考えたときに、岐阜県産の食材に特化したお店って実はあまりないなと思ったんです。それなら自分がやろう!と思ったのが開業のきっかけですね。当店で扱う食材は、基本的にすべて岐阜県産で、生産者様がわかるようにしています。当店での食事をきっかけに、岐阜には美味しい食材がたくさんあるんだな、こんな生産者さんがいるんだな、この人の野菜を買ってみようかなと思っていただけたら嬉しいですし、いい循環になると思っています。」

 

たしかに、生産者様の顔や名前がわかるというのは、料理をいただく側にとっても安心感がある。店内での食事を通して、生産者様や食材に興味を持つ人もきっと多いのではないだろうか。

 

 

③食材へのこだわり

 

野菜や肉だけでなく、卵、小麦、山菜や川の幸、果物に至るまで、「糧」で使用する食材は、中根さんが直接生産者様のもとへ足を運び、選び抜いたものばかりだ。

 

 

「良質な素材そのものの味を活かすため、食材や時期に合わせて調理法を選んでいます。たぶん、もともと岐阜県で生まれ育っていたら、ここまでのこだわりはなかったと思います。小さい頃から住んでいたら逆に気づけないというか、きっと県外の目新しいものに惹かれてしまうと思います。」

 

県外出身の中根さんだからこそ、岐阜の食材により魅力を感じたのかもしれない。多くの方に発信したいという思いは、お店の雰囲気にも現れている。

 

「フレンチは敷居が高いというイメージを持っている方が多いかもしれませんが、あまりかしこまらず、気軽に来ていただけたらと思います。僕自身もよくお客様と会話をしていますし、最初からお箸も用意しているので、ドレスコードやテーブルマナーなどは気にせず、カジュアルに食事を楽しんでいただけたら嬉しいです。」

 

本場フランスで修業を積んだシェフの料理をカジュアルに楽しめるのは嬉しい。実際、「糧」に訪れる方の年齢層は幅広く、休日にはお子様連れも多いそう。

 

「当店では、いわゆるお子様プレートのようなものは提供していませんが、事前にアレルギーの有無や好きな料理を聞いて、ハンバーグやオムライスなど、できるだけご要望に合わせて提供しています。僕自身、小さい子どもがいるので、偏食やアレルギーの大変さがすごくわかるんです。せめて当店では、安心してゆっくり食事を楽しんでいただきたいという想いで、柔軟に対応しています。」

 

「より多くの方に岐阜の魅力を知ってほしいので、「対応できない」という理由でお断りすることがないよう、苦手なものがあればコースから抜いたり、海外のお客様や、ヴィーガンのお客様にも対応できるようにしています。さまざまなシチュエーションに合わせてご利用いただけるよう、ソファー席や個室もご用意しています。」

 

店内には、パティシエである奥様の手作りのお菓子も並んでいる。もちろん岐阜県産の小麦粉や卵などを使用した、こだわりのラインナップだ。フィナンシェやマドレーヌといった焼き菓子のほか、栗、桃、ブドウ、イチジクなど、季節毎に旬なフルーツを使用したショートケーキもおすすめなので、気になる方はぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。

 

 

 

 

 

④若い世代を育て、受け継いでいくことが使命

 

これまで、シェフとしてだけでなく、国内外でプロデュースなども手掛けてきた中根さんだが、今後新たに挑戦したい夢や目標はあるのだろうか。

 

「県外の方が岐阜に訪れるきっかけになれたらいいなと思いますね。当店を目当てに県外から来ていただいたり、県外の友人に当店を紹介していただいたり、料理を通して食材の良さはもちろん、岐阜県の魅力をもっと広められたら嬉しいです。」

 

「あとは、若い世代を育てたり、参入や独立をバックアップできるような体制をつくれたらいいなと思っています。生産者様とのつながりが非常に強いので、たとえば、うちで修業をしながらいろんな生産者様とのつながりを作って独立してもらうとか、若手の農家さんの野菜を積極的に取り扱うことで応援するとか。これから先の若い世代を育て、受け継いでいくのが、僕たちの世代の使命だと思っています。」

 

若者の農業離れは、全国的に深刻な問題になっている。自然に恵まれ、良質な食材が多くある岐阜県。ぜひ、中根さんの活動がこれからを担う若い世代の参入や独立のきっかけとなり、長く受け継がれることを願っている。

 

 

 

 

自然派料理店 糧

 

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