社員全員がプロとしての誇りを持ち高品質にこだわる「株式会社スペクト」を訪ねてみた。

 

 

 

TOM
大人の男性のたしなみで、部屋にアイアン家具を取り入れてみようかなぁ
SARA
流行っていてカッコいいよね!?どんな家具を考えているの?
TOM
アイアンクッションだよ!クールだろ?
SARA
・・・それ、クッションの意味ないじゃん・・・

 

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山県市にある「株式会社スペクト」をご存知だろうか。
金属加工を強みとしている会社で、最近では「岐阜鉄の匠」としてユニークな発想で作られたアイアン家具も販売している。今回は、代表取締役社長の髙橋 義信(たかはし よしのぶ)さんにお話をうかがった。

 

 

今回のツムギポイント!
  1. 「まずやってみなさい」がスペクト流!社員のやる気を引き出すモノづくり
  2. 少数精鋭の職人技が強み!高品質へのこだわりで価値を見出す
  3. 社員の声と投票で決めた社名!「自分の選択」を仕事で証明する髙橋社長
  4. 「社員の良いところを見つける」が人材育成の秘訣
  5. 「鉄のことなら岐阜鉄の匠」あなたのアイデアが形になる喜びを体験しよう!

 

 

①「まずやってみなさい」がスペクト流!社員のやる気を引き出すモノづくり

 

株式会社スペクトは、1968年7月に創業した老舗の会社で、パイプを中心とした金属加工を強みとしている。髙橋社長は、20歳からこの会社で働いており、いわゆる現場からのたたき上げで社長になられた経歴を持つ。

 

スペクトは、大手企業のOEM(他社ブランドの製品を製造する)を主な事業としているが、コロナ禍をきっかけに事業方針を修正した。コロナにより、大手企業の仕事が減少し、スペクトも大きな損失を被ったためだ。そのため、本業のOEM事業と並行して、新しく事業の柱を作り、リスク分散を図ることにした。具体的な取り組みとして、自分たちの強みを持つ自社製品の開発を始めたのである。

 

開発にあたって、社員には遊びに近い感覚で楽しみながら取り組んでほしいと方針を打ち出したと、髙橋社長はいう。

 

「私の経験上、製造業に携わる人間であれば『何かを作りたい』という想いがあるものです。その一方で、現場の社員からすると、『勝手に作ったら怒られる』というイメージも持っています。そのため、社員には『自分がイメージしたものを自由に作っていいよ』と伝えています。」

 

形にして初めてわかることがあるので、邪念を取り除いて、まずは試してみてそこで失敗しても大丈夫だというスタンスを貫いている。

 

現在、『岐阜鉄の匠』という別ブランドで、オンラインを中心に一般のお客様向けに販売している。金属加工という強みを活かして、今流行りのアイアン家具(鉄や鋼素材で作られた)の脚フレームを中心に商品が揃っている。

 

中には、馬蹄(ばてい)サイドテーブルや鉛筆立て、オシャレなウォールデコなどのユニークな発想の商品もあり、社員の方が楽しみながら商品開発されている様子がうかがえる。

 

 

 

 

「人によっては、時間や資源の無駄遣いという意見もあるかもしれません。一方で社員の『モノづくり』へのモチベーションを上げていくには、この方針が最適だと考えています。」

 

現場を知る髙橋社長だからこそ、現場への理解と懐の深さを感じる。『まずやってみなさい』と社員の背中を押す方針は、社員一人ひとりの主体性を高め、モチベーション向上につながっていく。

 

自身のリアルな経験に裏付けされた方針と柔軟性のある考え方は、多くの人の学びとなる。

 

 

②少数精鋭の職人技が強み!高品質へのこだわりで価値を見出す

 

スペクトは、金属の曲げ加工の事業から始まった。パイプ椅子や、車のシートの骨組み、路線バスの手すり・バスの骨組みの仕事を請け負い、細径のパイプの曲げ加工の技術に優れている。

 

最近では、その技術が評価され、県外からの注文依頼も増え、知名度が上がってきた。スペクトの強みは、製品クオリティへのこだわりだと、髙橋社長は言う。

 

「少数精鋭の小さい会社だからこそ、高品質へのこだわりと誇りを持って取り組んでいます。機械で量産できない製品を、職人技で仕上げることで、差別化でき私たちの価値を見出せるからです。AIロボットなどが出てくる中で、今後も同じように差別化を図ります。」

 

このこだわりは、製品の表面仕上げにも現れている。金属加工をするなかで、金属の表面は凸凹になるが、それを『サンダー』と呼ばれる研磨機を用いて削って、滑らかに仕上げているのだ。実際に触ってみるとその差はすぐにわかる。この工程を一つひとつ職人が手作業で仕上げているのだ。

 

なぜ人間の手で行うかというと、削る工程は機械で行えないからだ。多くのメーカーが削らずに商品化する中、髙橋社長は塗装をつける前にサンダーで削って仕上げている。

 

人によっては細かいと感じるだろうが、こうした高品質へのこだわりと誇りを持った姿勢が基本として備わっている。このスタンスは、岐阜鉄の匠事業にも応用している。

 

岐阜鉄の匠では、最小単位の1台から注文を受け付けている。お客様が持参した手書きの図面をもとに再設計してデザインをするという、オーダーメイドニーズに応えている。

 

「プロの誇りをもって、蓄積した技術でお客様の要望に応えたいです。オーダーメイドだからこそ、プロ目線で経験値を活かしたこだわりの提案ができます。大量生産ではないからこそ、実現できる価値があるのです。」

 

 

一台のために、みんなが動くのでその分金額は高くなる。それでもこだわる人は多く、理想の台車を作りたいなど、いろいろなオーダーメイドの注文を受けている。

 

お客様のニーズに応えるために、社員全員が誇りを持ちながら、努力を惜しまず取り組んでいる。

 

 

③社員の声と投票で決めた社名!「自分の選択」を仕事で証明する髙橋社長

 

もともとは、別の名前で創業していたが、20年ほど前に今の場所に移転したタイミングでスペクトへ社名を変更した。社名変更にあたって、社員全員で社名候補を出し合い、最終的に三つに絞った候補を、姓名判断の専門鑑定士へ相談した。最終決定は、鑑定結果を参考に社員の投票で決めたという。社員を巻き込むイベントは、社員にとって会社に愛着を持つきっかけとなっただろう。

 

スペクトの頭文字を英語に変換すると『SPCT』となる。それぞれ『Speed(迅速な対応)』、『Perfect(完璧な仕事)』、『Create(新しい価値創造)』、『Trust(製品も人も信用される)』という意味が込められている。

 

「この四つの思いが企業理念にも一致しています。スペクトにとって、商品の良さは営業活動においても大きな役割を担っています。商品が悪かったらお客様の信頼を得られないので、スペクトでは商品の良さが全てだと思っているのです。」

 

ちなみに、『Perfect』の部分に、プロフェッショナルも入れたかったと髙橋社長は話す。完璧を求めるというのがプロの仕事であるというのが持論だ。

 

髙橋社長は現在49歳。前身の時代を含めると、29年間スペクトで働いている。社長になる前は、工場長として働いていたが、紆余曲折いろいろな事があったという。

 

「いろいろ壁にぶつかる時もあり、自身の進退を考えた事もあります。結果的に色々な方と話し合いを重ね、留まることを選びました。これからも仕事を続けることで、自分の選択が間違っていなかったと思えるようにしたいです。」

 

プロとして完璧な仕事を求める髙橋社長が、自身の過去のデリケートなエピソードもお話ししてくださった。髙橋社長は、自分の選択が正しかったと胸を張って言えるように、今日もスペクトの飛躍のために尽力する。

 

 

④「社員の良いところを見つける」が人材育成の秘訣

 

これまで、社員のやる気を引き出す方針を打ち出したり、社員を巻き込む社名変更イベントを開催したりと、髙橋社長は社員に寄り添ったコミュニケーションを積極的に実践している。髙橋社長は社員をマネジメントするうえで、どのようなことを心掛けているのだろうか?

 

「人を伸ばすには、人の良いところを見つけて、そこを伸ばすことが大切だと思っています。ついつい短所に目がいきがちですが、長所を見つけて伸ばすことによって会社に貢献してもらうのが重要です。」

 

人間は得てして、条件反射的に他人を評価するものだ。特に上司と部下という関係の場合、悪いところばかり目について評価しがちである。なぜなら、悪いところを見つける方が簡単だからだ。だから、人を育てることが一番難しいと髙橋社長はいう。

 

「私は、人を好きになることを常に心掛けています。なぜなら、人を嫌いになるより、人を好きになる方が難しいからです。世の中の全員が好きかと聞かれれば、そうではない部分もありますが、大前提として人を好きになろうと努力しないと難しいものだとは思っています。」

 

髙橋社長は現在、社員のために働いているという意識を持っている。逆に言えば、社員がいないと自分は社長ではいられないし、だからこそ自分は社員に支えられているという気持ちを大切にしている。

 

社長・社員相互が大事な存在だと思って、これからも仕事をしなければいけないと髙橋社長は語る。

 

社員一人ひとりの成長が、スペクト全体の発展につながることを信じて、髙橋社長は今日も邁進している。

 

 

⑤「鉄のことなら岐阜鉄の匠」あなたのアイデアが形になる喜びを体験しよう!

 

髙橋社長は今後、『スペクト』と『岐阜鉄の匠』の二つの事業を、さらに世の中に広めたいと考えている。スペクト事業は、B to Bビジネス(企業間取引)のため、同業や類似業種の企業を対象に、スペクトの曲げ加工技術を広めたい。

 

岐阜鉄の匠事業では、まだ認知度を上げる余地があるため、自社製品をさらに開発し、『鉄のことなら岐阜鉄の匠に頼もう』とブランド認知を目指している。

 

「岐阜鉄の匠が世の中に広まることで、結果的に山県市が有名になり、若い人が集まってほしいと願っています。」

 

髙橋社長は、山県市出身であり、地元への想いも強い。山奥で公共交通機関がなく車でしか来ることができないため、パートを募集しても人が集まりにくいという問題がある。街の過疎化を食い止めるためにも、若者を街に留める努力をしていきたいと考えているのだ。

 

また、さらに大きなビジョンとして、スペクトでしか作れない『メイドインスペクト』の強みを持つ製品を作りたいと意気込んでいる。それが実現すれば競合他社がいなくなり、価格競争に巻き込まれず安定した経営ができるからだ。

 

「そういう強みを持てる会社にならなきゃだめなのはわかっていて、その想いはいくらでもあります。実現のためにも一歩ずつ挑戦し続けて進んでいきます。」

 

失敗してもいいからまずはやってみる方針で、髙橋社長の挑戦はこれからも続いていく。

 

今流行りのアイアン家具に触れてみたい方や、自分のこだわりをオーダーメイドで形にしたい方は、ぜひ岐阜鉄の匠を訪れてみてはいかがだろうか?新たな発見とともに、あなたのアイデアが形になる喜びを体験できるだろう。

 

 

 

株式会社スペクト

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