食と人を繋げる「Coneru」を訪ねてみた。

TOM
最近は何でも”シェア”が流行ってるね!
SARA
場所も、車も、技術も、何でも”シェア”する時代になってきたもんね。
TOM
・・・僕の毛皮もそろそろ”シェア”しようかな〜
SARA
・・・(その毛皮、自前じゃないのね。)

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水の都大垣。
映画「聲の形」の聖地ともなった四季の広場を一望できる最高の場所に
株式会社Coneruのシェアキッチンはある。

 

インタビューをさせていただいた時期は、木々が青々としていたが
春には満開の桜と清流を眺めながらコーヒーでも頂きたいなと思いながら
株式会社Coneru代表取締役 平塚弥生さんにお話を伺いに行った。

 

 

 

 

今回のツムギポイント!
  1. シェアキッチン運営までの想い
  2. いきなりの試練
  3. 「自分にしか出来ない面白いこと」がしたい!
  4. 新しい取り組み
  5. 「食」という名のコミュニケーション

 

 

①シェアキッチン運営までの想い

平塚さんは元々製菓業界で勤めていた。
製菓メーカーの生産ラインは、生産が大量ロットになるが故に小ロットでの生産ができなかった。
小ロット生産でチャレンジをしたい多くの方がいるのに、その方達の希望を叶える事が出来なかった。
また、大量ロットが故に賞味期限を気にして販売しなければならず、丹精込めて作った商品を
廃棄にするわけにはいかず余った際には赤字にしてでも売り切る必要がある・・・。
そんな悪循環が時代と合わないのではないかと平塚さんは疑問を抱いていたという。

 

みなさんの中で「趣味のお菓子作りを活かして自分の作ったお菓子を売りたいな〜」「おうちで作って売ってみよ〜」
とお考えの方はいらっしゃますか?
とても素敵な事だとは思うのですが実は出来ないってご存知でしたか?

 

食品を製造・販売する際には、保健所の許可が必要です。
保健所の許可は人ではなく施設に付きます。
また食品衛生法の仕組み上、ご自宅で作ろうとするには居住空間とは別のキッチンが必要になる為、
結果的にキッチンが二つ必要という事になります。

 

製菓会社に依頼をしても小ロットだからと断られてしまう、自宅で始めるにも改装が必要になりそこまでの余裕がない・・・・
そんな新しい事にチャレンジしたいが様々な面から夢を断念せざるを得ない人が安心して、安全にお菓子作りができる場所を作りたい!
という思いがシェアキッチンを作ったキッカケとなった。

 

平塚さんはいう。
「最初はビジネスとしてのチャンスを掴みたいよりも、夢半ばで辞めていった人を支援・サポートしたい思いが強かったですね」

 

 

 

 

 

②いきなりの試練

平塚さんは当初より、「この先シェアキッチンは増えていく・必要になってくるな」と予想していた。
実際にシェアキッチンを5年前に作り当時は岐阜で初めてのシェアキッチンとなった。ただ、現在は多数存在している。
(インタビュー時:2023年)

 

その後、コロナが広まった2020年に法人化をされている。

 

「コロナの時期に守りには入らなかったんですか?」
「大変でしたよ。全部のイベントがなくなって予約が全部キャンセルになったんですよ。だから売上がマイナスになったんですよ。笑」
平塚さんは、そう言って笑ってみせた。

 

「失礼ながら、そういった状況になった時に”時期が悪かったから辞めようかな〜”とかは思わなかったんですか?」
「辞めようとは思いませんでした。逆に“守ってあげないといけない”と思いました。ここを何とか維持してあげないと、
いつかコロナが終わった時に作る場所がなくなってしまう、だから何とかしてシェアキッチンは辞めずに留めておこう
と思いました。
…全然儲からないですけどねシェアキッチン。笑」と再び平塚さんは笑った。
しかし、チャレンジする人のサポートを決して諦めないという強く熱い思いがしっかりと伝わってきた。

 

 

 

③「自分にしか出来ない面白い事」がしたい!

株式会社Coneruは様々な事業・サービスを行っている。
商品製造委託・商品開発・シェアキッチン・ネットコンサル。その中でも、ネットショップのサポートは新規での受付はされていないとの事。

 

「ネットショップって誰でもできるようになったじゃないですか。誰でも簡単にできるようになったら、もう私いらないなって。
単純に面白味を感じなくなったんですよ、誰でも出来ちゃうと途端に興味をなくしちゃうんですよね。笑」

 

“誰でもできることよりも、価値のあること・自分にしかできないことを作りたいな”という素敵な言葉をいただいた。

 

 

 

 

 

④新しい取り組み

みなさんは、手作り菓子やパンが購入できる自動販売機がある事をご存知でしたか?
株式会社Coneruでは「PANTRY(パントリー)」というキッチン利用者やコロナ禍でマルシェなどのイベントへの出店が難しい中で、
自身が手掛けた商品を非対面で販売できる自動販売機を現在5台運営している。

 

その自動販売機にも先程の”価値あること”の考えが根付いている。
「無人だからこそ”人感(ひとかん)”を出している」

 

POPは手書きにこだわり、5台全てが同じものを販売していても仕方ないとの考えから面白い販売方法をしている。
例えば、垂井駅・関ヶ原駅に設置されている自販機では、垂井駅には垂井の地形のクッキーを関ヶ原駅には関ヶ原の地形のクッキーを販売している。
5台全ての商品内容が少しずつ異なる為、コンプリートに全ての自販機を回ってみるのも面白そうだ。

 

大垣市スイトピアセンターの図書館北側にも設置されており、立地を考えたラインナップとなっている。
この場所には、多くの子供も来館する。
そのため、小さいお子様にも楽しんでもらえるよう猫のクッキーや赤ちゃんでも食べられる物が入っている。

 

また、市の施設ということもあり防災という観点から非常食となる5年間保存可能なクッキーもあるというから驚きだ。
もし、万が一の事があった際「お菓子は心の栄養」という想いから必ず入れている。

 

 

 

 

 

⑤「食」という名のコミュニケーション

平塚さんは、大学院生時代に「食を通じて人と人の繋がりが出来ていく」事を研究した。
シェアキッチンは、ただお菓子を作るためだけにあるわけじゃないと言う。
みんなで料理を持ち寄ったり、一緒に作ってパーティーをしたり・・・。

 

つい2時間前までは初めましてだった人も、一緒に料理を作って・食べて・話をして。
帰る頃には悩み相談までする仲になる人達もいるそうだ。
平塚さんは、こういった「食で地域を繋げる」場所が必要だと考える。

 

「作って売るだけなら誰にでも出来る。そこにコミニュケーションをプラスして相互に関係性を築く事が大事だと思う」
「人だけなんですよね、ご飯を食べてコミュニケーションを取るとか、一緒に食べ物を分けるっていうのは。人だけにしか出来ないんですよね」
コロナ禍も経験したからこそ、より身に染みて大切さを感じたと平塚さんはいう。

 

多くのシェアキッチンが出来ていく中、平塚さんの今後の思いとしては、シェアキッチンの店舗数を増やすのではなく、他の地域も含めたシェアキッチンを運営している人たちや実際に活用される利用者が安心して使える仕組み作りや販売のノウハウなど利用者に寄り添ったサポートをしていければと語っている。

 

 

 

 

 

最後に一つ質問をしてみた。

「何をしている時が一番楽しいですか?」

「利用者さんと“これからどうしていきたいか”という話をしている時が一番楽しいですね。
この人達が今後どうやって巣立っていくのか、利用者の夢の達成に立ち会える、と思うとおこがましいけど、
ここ(シェアキッチン)がなかったら叶っていなかったかもしれないと思うと嬉しいですよね。」
「ここで出来たお菓子が色んなマルシェで販売されているのを見ると“自分の孫”みたいな感覚で本当に嬉しい。笑」

 

平塚さんはとても嬉しそうな笑顔で答えてくれた。

 

今回インタビューをさせていただき、平塚さんは「人との繋がり」を大切にされているのだと感じた。
それは、シェアキッチンを始めたキッカケ・お菓子を手にとってくれる人・今後の思い。
全てにおいて「人と人の繋がり」が前提にあると感じた。
株式会社Coneru代表取締役 平塚 弥生さんは、素敵な笑顔が溢れるとても魅力的なお人柄でした。

 

素晴らしいロケーションのもと、平塚さんと利用者の方の笑顔が溢れかえる「人と食のコミュニケーション」の場として
今後もご発展される情景が浮かぶ中、株式会社Coneruを後にした。

 

 

株式会社Coneru公式サイト

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