オーダーメイド家具屋「RITON」を訪ねてみた。

TOM
サラ~新しい家具新調しない~?
SARA
それなら、素敵な家具工房があるのよ!
TOM
それって手作りってこと?それなら僕でもできそうだね!
SARA
・・・絶対にやめて!本当に職人さんに失礼よ!・・・

 

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各務原市にある「RITON」をご存知だろうか。
鉄工も木工も得意な職人さんが無垢素材を使用して家具を作ってくれるお店だ。今回はRITONの代表を務める大西 鉄平(おおにし てっぺい)さんにお話を伺った。

 

今回のツムギポイント!
  1. 社名の由来に託した思い
  2. ご自身の欲しいものを作り始めた頃
  3. 鉄工職人さん、木工を学ぶ
  4. お子様に無垢の木材を届けたい
  5. 今後の展望と夢

 

 

①社名の由来に託した思い

 

大西さんが作られた言葉 “RITON” には、たくさんの想いが込められているのだという。まずは社名の由来を質問してみた。

 

「RITONという名前はreとToneを組み合わせた造語です。reというのはRecycle、Reuseとか回すという意味で、Toneには音色という意味と、色調・色取りという意味があります。私は60年代70年代のデザインやライフスタイルが好きで、子どもの頃から昔のものにすごく惹かれていました。その年代のデザインやスタイルを今の時代にもう一度持ってきたいという思いがあり、RITONと名付けました。」

 

小学生時代の頃からすでに60、70年代の商品や文化に興味を持っていたというのだからかなり大人っぽい感性をされていたのだろうと感じた。

 

「現代はどんどん無駄を削ぎ落としていく傾向にあり、デザインに関してもシンプルが主流なんですけど、私が個人的に惹かれるのはやはりデザインが豊かなのものなんです。例えば本来機能としてはなくてもいい部分に装飾を加えたりとか、そういうことを意図的にやってみることで、視覚的に豊かさが生まれます。」

 

「昔のデザインって結構そういう観点が多かったんですよ。でも別になくてもいいものなんですよね。当時をそのままコピーするわけでもなく、当時のテイストを今の時代に取り入れたいって思いがRITONに込められているんです。デザインももちろん、ものづくりに対する姿勢もです。」

 

大西さんの理念がRITONに凝縮されているようだと感じた。

 

 

 

 

②ご自身の欲しいものを作り始めた頃

 

RITONのオープン以前は鉄工作家として活動していた大西さん。お父様が鉄工所を営んでおり、昔からその背中を見てきたのだという。

 

「父の鉄工所では家具を作ってたわけではなくて、オブジェなどを作っていました。父の仕事を手伝いながら自分が欲しい家具を作るようになり、欲しいと言ってくれるお客様にご要望をいただくようになったときに、”家具を作りたい”と思うようになりました。」

 

運命に導かれるように家具に興味を持ち、現在のRITONがあるのだという。

 

「鉄工職人をしながらマルシェに出店していたのですが、そこでいろんなお客様と知り合いました。地元の一宮の方、カフェのお客様、雑貨屋さんとか。知り合った方に欲しいものをオーダーしてもらい鉄でいろいろ作っていたんですけど、だんだん”ここ木にならない?”とか”棚板の上に木置いてくれない?”というオーダーが入るようになったんです。けれど私は木に関する知識がありませんでした。そんな中でいろいろお客様に対応するうちわからないことが出てきて、DIYの雑誌をひたすら読みながらやってるうちにだんだん木工が楽しくなってきたんです。」

 

そこで大西さんは木工を学べる場所がないかと調べ、長野にある技術専門校木工学校の存在を知ったのだそう。

 

 

 

 

③鉄工職人さん、木工を学ぶ

 

長野県の木工技術専門学校について

 

「1年間で学べる学校です。私が29歳の時に入学しました。本当は3年前には学校の存在を知っていたので、その時に行った方がいいとは思ったんですけど、独立資金の調達を先にして、卒業後にすぐ独立ができるようにと思って。計算したら29歳で学校に行くのが最短だったんです。」

 

技術専門学校に行くまでの3年間で独立資金を貯金をされたそうだ。

 

卒業後、工房をオープンさせ、現在の場所に拠点を移された大西さん。取材で伺ったRITONさんは、オフィスやショールームがとても素敵な場所だった。

 

「最初はもう何もない状態で借りてますので、そこからまずこのショールームを作って工房を作って事務所を作って、少しずつ付け足していったような形です。全部自分で作ったのでとても愛着があるんです。」

 

なんとほとんど大西さんがご自身で作り上げた空間なのだという。RITONさんの企業としての強みも、やはり大西さんが鉄工木工どちらも取り扱える点にあるという。

 

「金属加工を自社で全部やり、木も使用したひとつの家具を作れるということです。木の天板のテーブルは、脚も天板もすべて私が作ります。溶接もやるし、かんなも掛けます。一から生み出される商品のストーリー性に喜びを感じてくれるお客様も増えてきています。」

 

さらに他の業者と取引しない分、理念の食い違いも生じにくいという。オーダーされた通りの商品を大西さんがすべて作ることで、より満足度の高い家具を提供できるのだそうだ。

 

ものづくりがお好きな大西さん。きっかけとして強く覚えている、子どもの頃のお父様とのエピソードを紹介してくれた。

 

「既製品のロボットのおもちゃに父がトグルスイッチを付けて、操縦できるようにしてくれたんです。おもちゃのロボットが動くようにしてくれてとても嬉しかったのをすごく鮮明に覚えています。
知識次第で何でも作れるんだって思うようになったのは、多分この時がきっかけですね。」

 

当時のことをとても嬉しそうに話してくれた。大西さんは子供時代に友達がファミコンで遊んでいる間にプラモデルやラジコンを作って楽しんでいたそうだ。

 

 

 

 

④お子様に無垢の木材を届けたい

 

RITONさんで作る家具はどなたにも喜んでもらえるよう設計されている。そのため明確なターゲット客層があるわけではなく、多くの方にRITONの家具の良さを知って欲しいのだそう。

 

しかし、無垢の木材を使用した製品は、届けたターゲット層があると教えてくれた。

 

「無垢の木材がベースの家具には明確なターゲットもあるんです。子どもたちや若い方に、木の良さを知ってもらいたいという思いがすごくあります。無垢材で作られているものに物心つく前から触れて欲しいんです。木でできている物の特有の香りや手触り・温かみを感じて欲しいんです。」

 

「大人になって、良いものやこだわった物を持つと生活が豊かになると思うんです。なので、木の良さを知ってもらい選択肢として持っていてほしいです。現在、お子様がいるお客様からご注文をいただくことも多いのですが、お届けに行くとお子様がすごく嬉しそうにスリスリするんですよ。『気持ちいい~!いい匂いがする〜』って言ってくれるのがすごく嬉しいですね。」

 

筆者は小さなお子様がいると木製家具の管理は難しのではないかと感じ聞いてみた。すると大西さんは取材時に飾ってあったお子様が小さい時に使っていたものを見せてくれた。

 

「まだ子どもたちが2歳頃に使っていた物なんですが、子供なので使い方はめちゃくちゃですよね。油性マジックでお絵描きをしてくれましたし、おもちゃでガンガン叩かれたり散々やられました(笑) でも、それを鉋をかけて整えてあげると、また綺麗な状態になるんです。なのでいつまでも綺麗な状態で使い続けれるんです。」

 

木材の家具だからこそできる素敵なエピソードを紹介してくれた。

 

 

 

 

 

⑤今後の展望と夢

 

最後にRITONの今後の展望と夢を伺った。

 

「今、日々の制作に追われて、スタッフ一人ひとりの個性を発揮するステージを設けられていないんです。それをこれから作っていくってことはこれからの課題ですね。」

 

大西さんの素敵な想いが込められた課題だと感じた。

 

「最初は1人から始めてた工房も今はスタッフも増えました。お仕事も多くいただくようになって、やりたいこともできるようになってきたので、次の段階を考え始めました。今いるスタッフは木工以外にも色々なスキルを持っているので、スタッフの個性が発揮できる方法がないかと考えています。スタッフみんなが輝ける職場にしていきたいです。」

 

スタッフの皆さんと力を合わせていろんなことに挑戦をしたいという夢を語ってくれた。

 

大西さんはお仕事するに当たり、いつも心がけている大切な言葉があるのだという。

 

「”神は細部に宿る”という言葉は大切にしています。パッと見では気づかない細かなところもしっかりやらないと、ミクロなことが全体に波及するというのは常に心がけています。スタッフにも伝えるようにしています。家具作りは見た目の美しさだけじゃないんです。」

 

組み立ててしまうと外側からは見えない内側の作りや、設置してしまうと表からは見えない裏側など、細かいところにも一才の妥協を見せずに制作を行なっているのだそうだ。

 

まさに職人さんの魂だろう”神は細部に宿る”。ご自身だけでなくスタッフさんともその思いを共有し、家具作りを行うRITON。大きな夢を目指しながら、世界へ素敵な心遣いをre・toneしてくれる大西さんを心より応援したい。

 

 

 

 

RITON

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