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可児市にある「はら泌尿器科クリニック」をご存知だろうか。
デジタル化を推進して徹底的な効率化をしたことで、患者の待ち時間や負担を減らし、患者満足度98%を誇る評判のクリニックだ。今回は、院長の原 浩司(はら こうじ)さんにお話をうかがった。
- 目指すのはゆるふわ開業医
- 開業コンセプトはDXによる効率化
- わかりやすい説明で患者満足度98%!
- 残業なしを目指す
- 新しい価値を作る
①目指すのはゆるふわ開業医
原先生はゆるふわ開業医を目指している。ゆるふわ開業医とはどのようなものなのだろうか?
原先生が考える定義は2つである。
・時間外勤務をしない
・業務の効率化を図り、持続可能な働き方をする開業医
もともと勤務医として、朝から晩まで働いていた原先生。1日3〜4件の手術をこなしながら、学会発表のためのスライドを作成するなど、毎日が激務であった。当時は、とにかく数をこなすことを求められていたという。
「ある時から目に見えないダメージを感じるようになりました。人生は長いマラソンのようなものだから、雨の日はゆっくり歩くのもいいと思うし、時間と健康が何より大切だと気づきました。」
この気づきをきっかけに、原先生は独立を決意し、ゆるふわ開業医を目指すことにした。患者様に良い医療を提供するうえで、数をこなそうとすると診療が雑になる側面がある。必要以上に患者数を求めず、再診率や定着率に注目して効率化を意識しているという。
「業務の効率化をすることで診療がスムーズになります。それによって、患者様一人ひとりへ丁寧で質の高い診療ができ、かつ私自身も時間外勤務を減らせるのです。」
ゆるふわ開業医とは、働かずして稼ぐというわけではなく、患者様を丁寧に診療しながら、業務の効率化により時間外勤務を無くす、持続可能な働き方を目指す開業医のことであるようだ。
②開業コンセプトはDXによる効率化
原先生は勤務医時代、病院にペーパーレス化を強く提案したことがあったが、変わることはなかった。
その教訓をもとに「はら泌尿器科クリニック」では、開業当初からデジタルによるシステム化で業務の効率化を図っている。システムを活用し、看護師の勤務シフトや共有レポート、勉強会資料などを、全員がいつでも気軽に閲覧できるようにした。
「電子カルテのペーパーレス化もそうですが、デジタル化は『人』『物』『事』をつなげるものです。DX(デジタルトランスフォーメーション)の『X』を掛けるという意味だと捉えています。つまりDXは、デジタルで掛け合わせて新たな価値観を作ることだと考えています。」
このDXは、「はら泌尿器科クリニック」が取り組んでいる、「医療とエンターテイメント」にも強く関わっている。
事前の調査で、泌尿器科の病院は敷居が高く入りにくいという患者様の声が多いことをキャッチ。そこで、看板を設置せず、泌尿器科とわからないデザインの外観にして、院内はデジタルを活用した。
「患者様の待ち時間の負担を考慮し『通いやすさと待ち時間を楽しむ』をコンセプトに掲げました。具体的には、待合室には陶芸品や画家の作品を展示したり、PC作業スペースを設け、医療の豆知識をモニターで流しています。」
「はら泌尿器科クリニック」が目指すのは、デジタル化による効率化である。
システム活用による仕組み化と、レセプト(診療報酬明細書)確認機能付き自動計算レジの導入で合理化を図ることで、スタッフの負担を軽減しながら、患者様も楽しめる新たな環境を作っている。
③わかりやすい説明で患者満足度98%!
「はら泌尿器科クリニック」では、患者様に症状を説明する資料もデジタル化している。資料は原先生がAIを活用し、自作で作成するというこだわりがある。具体的には、診察時にタブレットで説明し、患者様が後で見返せるようにホームページにも同じ資料を掲載している。
「私の自己満足で終わらないようにと、説明がわかりやすいかどうか、約800人の患者様にアンケートを実施しました。その結果、約98%の方がわかりやすいと回答してくれました。」
原先生は、ホームページを説明用の資料として活用することが好評だと考えている。
「デジタルの一番の強みは、無限に表現ができることだと考えています。表現の仕方が自由にできるからこそ、自作のメリットがあります。ホームページに載っている資料は全て自作です。」
説明時に他人が作成した資料を使うよりも、自作の方が齟齬がなく、患者様にとっても自身の症状を理解しやすくなり、前向きに治療に取り組む助けとなっている。
④残業なしを目指す
徹底的な業務の効率化によって、原先生やスタッフの方の残業はほとんどない。
「平日は17:30に診察を終えるとジムに行きます。土曜日は12:30になれば妻とランチに出かけます。このように、趣味や家庭に時間を費やすことができています。」
スタッフの残業も1分単位で記録しているが、最も残業が多い事務職でさえ、月4時間程度という少なさである。業界でも類を見ない健全な労働環境である。
業務の効率化の効果は、患者様の待ち時間にも表れている。ある日の午前中の患者数が40人と多い中でも、平均待ち時間は30分以内に収まっている。40人が来院してこの待ち時間の短さは驚くべき成果だ。
「待ち時間が30分であろうと、診療時間内にすべてを終わらせます。スタッフも患者様も待たせたくありません。良い傾向として、最近は新規患者数が月100人程度で、全体の18.7%を占めています。これだけ新規患者が来るクリニックは珍しいそうです。」
原先生の信念と取り組みは、患者様に支持され、その評判が新たな患者様を呼び込んでいる。医療業界は変化を恐れがちだが、やり方次第で業務の効率化が成功しうることを証明している。
「はら泌尿器科クリニック」は、従来の医療の概念を覆す模範となっている。
⑤新しい価値を作る
原先生が医師を目指したきっかけについてうかがった。
「両親の勧めと、周りの友人の多くが医師を目指していたからです。泌尿器科を専攻したのも仲の良い友人の影響でした。」
「私も勤務医時代に経験しましたが、医局にいたら必ずといっていいほど競争にさらされます。しかし、開業すれば、自分の責任と裁量で自由にできるので、競争の中にはいません。そしてビジネスは、自分で新しい価値を作ることができます。私の場合、患者様の悩みを考えて、持ち時間の短縮や待ち時間も楽しめるコンセプトを作りました。」
ゆるふわ開業医を目指す原先生は、競争ではなく自身で新しい価値を生み出しているのだと話してくれた。
Appleの創業者、スティーブ・ジョブズの言葉を引き合いに、iPhoneも今までの機能の組み合わせだったという。そういう意味で、まだ誰もやっていない新しい価値を作ることを丁寧に行うことが大切だと考えているのだ。
「欲望には際限がなく、求めればきりがありません。だからこそ時間と健康が大切です。もちろん、ある程度のお金も必要ですが、デジタル化がそれを両立させるキーになるんです。」
最後に今後の展望についてうかがった。
「効率化をさらに追求し、もっと効果的な時間の使い方を目指しています。あとは、自分の価値を高めたいと思っています。そのために、講演会やメディアに出演して、ブランディングを強化したいです。」
原先生は生き生きとして輝いているように見えた。そのことを伝えると、「楽しく生きているからですかね」と謙虚に笑顔で答えた。患者様の満足度が高い理由がうかがえる。
「はら泌尿器科クリニック」は、従来の医療の概念を覆すゆるふわ開業医のもと、患者様の時間と快適さを最優先に考えた質の高い医療を提供している。
デジタル化による効率的な仕組み作りと、待ち時間を楽しむ工夫により、泌尿器科特有の敷居の高さを払拭。お悩みの方は「はら泌尿器科クリニック」へ訪れてみることをおすすめする。
原先生の丁寧な説明、そして最新のデジタル資料で、あなたの健康をサポートしてくれるだろう。