日本の伝統文化を楽しんでもらう活動を行なう「ZENLAB」の拠点を訪ねてみた。

TOM
サラ!おはよう!お茶淹れるね!
SARA
えっ!?嬉しい!ありがとう~。お茶道具も揃えて本格的ね!
TOM
お待たせ!お抹茶にレモンとエディブルフラワーを浮かべてみたよ。飲んで見て!
SARA
・・・ものすごく斬新なアレンジね・・・お抹茶の味しないわよ・・・

 

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岐阜市長良丘にある「ZENLAB / 朱雀軒」をご存知だろうか。
茶道を中心とした日本の素晴らしい文化を広めるため活動をしている教室だ。今回は「ZENLAB」の拠点である茶道教室「朱雀軒」で先生をしている早川 友子(はやかわ ともこ)さんにお話を伺った。

 

 

今回のツムギポイント!
  1. ほっとするお茶時間を楽しんでほしい
  2. 海外を通して見つめる日本文化
  3. 歴史のある茶道の世界
  4. ZENLABオリジナルブレンドのお抹茶
  5. 日本の文化を楽しんでもらうために

 

①ほっとするお茶時間を楽しんでほしい

 

ZENLABの拠点である茶道教室「朱雀軒」の早川さんは、先代であるお母様が茶道教室をされていたことがきっかけで茶道に親しむようになったという。子どもの頃からお母様がお茶を点てる姿を見ており、お茶を飲む習慣があったという早川さんは、”お茶を飲む時間”が持つ力を体感してきたという。

 

「仕事から帰って母と一杯お茶を飲むと、何もかもを忘れてお茶に没頭し、ほっと安らぐ時間を過ごせました。忙しい今の人たちの生活にも、そういう安らぎのための時間が作れたらいいなと思っています。」

 

お母様の茶道教室朱雀軒を継いだ早川さんは、お茶など日本文化をより気軽で日常的に楽しんでもらうため、ZENLAB(ゼンラボ)という活動を始めた。

 

「茶道は閉鎖的な面があり、皆さん敷居が高いって言われますね。ですが、一旦こちらに来ていただくとみなさん楽しい、お稽古に来たいって言ってくれます。”LAB”ってつけたのも、茶道を革新的に見つめていこうということで名付けました。茶道教室の名前は朱雀軒です。ZENLABでイベントをやるときには、朱雀軒がお茶の担当をしているという形ですね。」

 

こうして先代からお茶道の心を受け継ぎつつ、より新しい形で門を広く開けた活動をスタートしたのだという。

 

 

 

 

②海外を通して見つめる日本文化

 

早川さんの息子さんは、上智大学で学びながら海外にルーツのある友人と出会い、その後海外生活を送っているというグローバルな目線を持つ方だ。

 

息子さんは、お母様である早川さんが大切にしている茶道や、茶道に対する想いを世界に知ってもらうために、助言をしてくれているという。

 

「日本では茶室に座ってお抹茶を飲みますが、パリへそのまま茶道文化を持って行っても、きっとパリの人は感動しないだろうって息子に言われました。向こうの地域の人たちに合うような形にしていかなきゃいけないって指摘されたんです。例えば床飾りの代わりにプロジェクションマッピングはどうだろうって話になり、実際にマッピングと茶道の組み合わせをパリの皆さんに楽しんでもらいました。」

 

 

 

 

「息子から、いらないものは消えていくんだぞって言われたのが、一番恐ろしかったです。『お母さんが茶道をいくら良いものだと思っていてもみんなが必要ないと思ったら、世界から消えていくよ』って言われたんです。それで、みんなが良いなと思えるような形を模索していかなきゃと思うようになりました。」

 

早川さんの息子さんは、日本にいる時には必ず早川先生のお稽古に参加されるそうだ。

 

「息子にもやっぱり茶道の雰囲気が身についていて、お茶の時間は彼にとっても落ち着くものなんだと思います。ならお茶のこの空間や時間を、より広く発信するべきなんだなと強く感じました。」

 

早川さんはそう嬉しそうに語った。

 

 

 

 

 

③歴史のある茶道の世界

 

茶道には流派がさまざまあり、流派の家元は上下関係が厳しい世界だ。そんな中でZENLABという新鋭的な活動をすることに戸惑いはなかったのだろうか。

 

「茶道は家元がいて上からの序列がすごく強くあって、下の者が飛び抜けてなにかをやるっていうのは爪弾きにされかねないんです。それも関連してか、茶道教室でホームページを持ってるところはとても稀なんです。だから他の人も代々ネットで発信をしないスタイルを貫いていたところ、最近の若い方がどこで茶道を勉強していいかわからない状態になっていました。ネットでなんでも調べられるはずが茶道のことはわからないんですよね。」

 

その状態を改善したいと積極的にインターネットを活用したところ、早川さんの元にはたくさんの人が集まっているそうだ。

 

「いろんな方が見えますよ。ホームステイで日本に来ている方や、酒造の社長さんとかね。ご夫婦で一緒にいらっしゃるお料理屋さんや、ドクターの方もいらっしゃいます。いろんな会話が生まれて本当に楽しいです。一昔前だとなかなか知り得なかった方とお茶ができるんです。」

 

社交の場として楽しくお茶会をする早川さん。茶道の本来の姿にも社交の意味は含まれているはずだと教えていただいた。

 

「茶道は元々、格式ばったものというより、一種の社交場です。千利休の時代、確かに秀吉とか信長たちと関わりがあったんですけれど、その方たちは自分の親しい仲間と楽しむ場として茶室を利用しました。そして一番は、ビジネスの場として商売なんかの話もしたはずですね。目的は色々あったとしても、結局私はお茶をコミュニケーションの場だと思っています。そしてZENLABを最終的にはひとつのコミュニティにしたいなと思います。今はまだ少ないですけれど、活動をしている人たちが自分たちのものを持ち寄って、日本の文化をもっともっと発信できる場にしていきたい。それがZENLABの最終目的だと思います。」

 

茶道以外の日本文化も広めていきたいと語る早川さん。その活動の一環としてお知り合いの方が古い着物をリメイクしてミニチュアサイズに仕立て直した物をイベント時に展示したり、和菓子職人さんを招いてお菓子づくりのイベントを開いたりと、日本文化を多くの方に楽しんでもらえるコミュ二ティを作りたいと夢を語られた。

 

 

 

 

④ZENLABオリジナルブレンドのお抹茶

 

そうして伝統技能や日本の素晴らしさを伝える力を持つ人が早川さんの周りに集まっている。

 

その一環として、ZENLABオリジナルブレンドのお抹茶も販売されているのだそうだ。

 

「いつもお茶を使っているところに、ZENLABのオリジナルブレンドを作っていただいたんです。そのお茶がものすごい好評で、じゃあ売り出そうかということでネットショップで販売しています。」

 

ZENLABホームページから購入することができる「天空」「朱雀」「鵜影」はそれぞれ風味が異なり、お家でお茶を楽しみたい方に是非チェックしていただきたい商品だ。

 

そのほかZENLABのホームページではお抹茶を使ったお菓子のレシピも公開されている。おやつにお抹茶を取り入れてみたい方にもおすすめのページだ。

 

 

⑤日本の文化を楽しんでもらうために

 

こうして日本文化の良さをそのままに、現代のスタイルに合わせて楽しんでもらうためプロデュースを行うZENLAB。

 

「日本には素敵なものがたくさんあることを、まだまだ皆さん知らないんです。発信する術がないとやはり広まらない。だから、ZENLABで伝えるべきものを発信できればなって思います。茶道ばかりじゃなく、日本の文化を広く、海外にも伝えていきたいです。私はみんなに日本の文化を、自分たちで楽しめるような形で親しんでほしいですね。」

 

こう語る早川さんは、本格的で厳しい体験を推奨するのではなく、日常の中に取り入れてもらえることを目指しているのだという。

 

「私は、自分の生活の中で活かしてもらえることが一番だと思うんです。茶室に入らないとお茶はできない、というものではないと思うので。」

 

早川さんはそう語り、茶室に通うことができなくてもご自宅で茶道のエッセンスにほっと一息つく瞬間を楽しんでもらいたいと話してくれた。

 

早川先生にとってお茶とはなんですか?と尋ねてみた。

 

「お茶とは、自分の一番落ち着くものかなって思います。この空間と時間がとても好きなんです。本当に落ち着くことができます。お茶を点てる時も、その時の気持ちが表れたりするので、いつも同じ味にはならないんですよ。茶道は精神統一もとても大切なんです。お弟子さんのお茶を私も飲みますけど、全員のお茶の味が違います。本当に面白いですよ。使っているお湯も一緒・抹茶も一緒でも、味は全く違うんです。やっぱり茶道に”道”がつくのもそこが理由かなとは思いますね。」

 

心を落ち着ける作用もあるし、心を表す力もある茶道の不思議さを語ってくれた。

 

現在、早川さんは海外で暮らす息子さんと毎日オンライン上で会話をしているのだという。長い間お子さんが海外で暮らしていても、距離を感じることはなく、繋がりを楽しんでいるのだそうだ。そうした経験から”世界は狭い”とポジティブに語られた。

 

「世界は狭いんだから、お茶っていいなと思ったなら、日本の中だけで楽しんでいたらつまらないですよ」といい、未来に向けて海の向こうにまでお茶の魅力を発信をしているのだ。

 

業界の中では珍しいほどに新しい挑戦を続ける早川さんとZENLAB。これからもZENLABが、より多くの素晴らしい文化を伝えてくれることを願い、筆者もこの活動を応援させてもらいたいと感じた。

 

 

 

 

ZENLAB

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