お菓子で幸せを届ける老舗和菓子店「みのかも金蝶堂」を訪ねてみた。

 

 

TOM
和菓子って海外の人からもすごく人気なんだって!
SARA
味が美味しいのはもちろん、見た目もすごく繊細で上品なところも魅力よね。
TOM
え?僕の見た目が繊細で上品だって?照れちゃうな~
SARA
・・・話聞いてた?・・・

 

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美濃加茂市にある「みのかも金蝶堂(きんちょうどう)」をご存じだろうか。
1960年創業、看板商品の「金蝶饅頭」をはじめ、多種多様なお菓子が並ぶ老舗和菓子店だ。今回は、3代目の長尾 竜之介(ながお りゅうのすけ)さんにお話をうかがった。

 

今回のツムギポイント!
  1. 老舗和菓子店のはじまりと承継
  2. 伝統を大事にしながら、時代に合わせてアップデートする
  3. さまざまな角度から和菓子の魅力を発信
  4. これからも地域に幸せを届け、愛され続けるお店に

 

① 老舗和菓子店のはじまりと承継

 

1960年の創業以来、60年以上にわたり地元の人たちに愛され続ける「みのかも金蝶堂」。1987年に2代目に代替わりし、2015年より、2代目であるお父様と長尾さんの親子2代で菓子作りに励んでいる。はじめに、創業の経緯をうかがってみた。

 

「初代である祖父が、穂積町の金蝶堂で10年修業し、暖簾分けで「みのかも金蝶堂」を創業しました。当時は和菓子以外にもガムやアイスクリームなども販売していたそうです。」

 

大垣市を中心に、屋号に「金蝶堂」とつく和菓子屋が多数存在するが、これらも暖簾分けで、それぞれが独立した店であり、看板商品の「金蝶饅頭」も、それぞれのお店独自のレシピで製造されているという。

 

 

お父様の後を継ぎ、3代目としてやっていこうと決意したのはいつ頃だったのだろうか?

 

「小さい頃からずっと両親や祖母が働いている姿を見て育ったので、後を継ぐんだろうなというのはなんとなく思っていました。他の仕事をしたいという考えもあまりなく、高校に入学する時に父と将来の話をして、その時に卒業したら和菓子の道に進むと決めました。」

 

高校卒業後、実家を離れ愛知県安城市にある和菓子店で修行を積んだ。

 

「基本的には仕込みだったり、店番だったり、清掃といった仕事がメインで、少しずつ師匠の製造の補助などもしながら、最後の方にメインのお菓子作りもさせてもらえるようになって、卒業させていただいたという流れですね。」

 

6年間の修行を経て、親子2代で「みのかも金蝶堂」でのお菓子作りが始まった。

 

 

②伝統を大事にしながら、時代に合わせてアップデートする

 

高校卒業と同時に足を踏み入れた和菓子業界。少なからず困難や挫折もあったはずだが、これまで続けてこられた原動力はなんだろうか?

 

「やっぱり、お菓子を作ること自体がすごく楽しいからですかね。修行先の環境がとても良くて、そこでお菓子作りの楽しさみたいなものを教えてもらえたかなと思います。もちろん楽しいことだけではないですけど、特に最近は知識も増えてきて、何をする事でどのような変化が生まれるかという事もわかり、そういった面白さもありますね。思った通りにできたらまた楽しいですし。」

 

どの業界でも、親子とはいえ厳しく接するイメージのある職人の世界だが、お父様からはどのようなことを学んでいるのだろうか?

 

「技術面で父に教えてもらったことはあまりなくて、心構え的なことだったり、本当に基本的なことが多いです。やっぱり親子なので性格とかも似ていて、父は昔から栗きんとんにチョコレートをかけたりとか、どんどん新しいことをするタイプで、僕もどちらかというとそういうのが好きなので、自然と同じ方向に向いてるのかなと思いますね。」

 

お店のモットーに掲げる「温故知新(おんこちしん)」は、「故きを温ねて新しきを知る(ふるきをたずねてあたらしきをしる)」という、『論語』に記載されている言葉だ。「古い教えから新しい知識を学ぶ」ことを意味するが、具体的な取り組み、意識していることをうかがってみた。

 

「まずは伝統的な部分をしっかりと理解して、大切にしつつ、今の時代にあったアップデートをしていこうということだと捉えています。父は割と革新的というか、時代に合わせて新しいものを取り入れていくタイプでしたね。「ばたあどらやき」や「しゅー栗ぃむ」は父が開発したもので、うちを代表するお菓子のひとつになっています。」

 

もちろん長尾さん自身も、今の時代に合わせた新たな取り組みや、新メニューの開発に取り組んでいる。長尾さんが開発したお菓子のひとつ、「濃茶の音色」についてうかがってみた。

 

「ある時ふと、うちには抹茶のお菓子がないなと思ったのがきっかけです。やっぱり抹茶を使ったお菓子は人気があるので、何か作りたいなというところから始まりました。使用する抹茶にもこだわっていて、カステラ生地には八女抹茶、餡には西尾抹茶というように、抹茶の特性に合わせて使い分けています。」

 

何度も試行錯誤を繰り返して、ひとつのお菓子が生まれる。普段、どのようにして新商品を開発しているのだろうか?

 

「急にアイデアが浮かぶというのはほとんどなくて、素材から考えるパターン、季節やイベントから考えるパターン、勉強会などで得た知識から考えるパターンが多いですね。」

 

 

 

 

 

③さまざまな角度から和菓子の魅力を発信

 

通年で販売しているものから、季節ごとのイベントに合わせたものまで、さまざまなお菓子を取り揃えている。「みのかも金蝶堂」ならではのこだわりや強みをうかがってみた。

 

「自社製餡100%の和菓子にこだわっていて、あずきは北海道の業者さんから直接送ってもらっています。全種類のあんこを小豆から炊いている和菓子屋は意外と少ないので、多少手間がかかっても製餡所には頼らず、全部自社であんこをイチから作っているというのは、うちならではだと思いますね。」

 

SNSを通した情報発信にも力を入れている長尾さん。既存商品のほか、新商品や季節限定商品など、色鮮やかなお菓子の写真が並んでいる。

 

「和菓子は季節を表現するものなので、花鳥風月だけでなく、ハロウィンやクリスマスなどのイベントに合わせたお菓子を作ったり、細工の技術としては一緒でも切り口や表現を変えることで、普段あまり和菓子を食べたことがない人たちにも興味を持ってもらえたらいいなと思っています。」

 

全国でも有数の梨の生産量を誇る美濃加茂市。傷がついて販売できない、本来ならば廃棄してしまう梨を使用したお菓子の開発など、今後は地域の食材を使ったお菓子作りにも力を入れていきたいと話す。

 

 

④これからも地域に幸せを届け、愛され続けるお店に

 

「温故知新」をモットーに、伝統を大切にしつつ、時代に合わせた取り組みを進める長尾さん。
お菓子の魅力を伝えていくことも大事な仕事のひとつと考えており、和菓子作りを体験できるワークショップも定期的に開催している。

 

「子どもたちが多く参加してくれて、お菓子作りに興味を持ってくれたり、和菓子やあんこが好きな子が1人でも増えてくれたら嬉しいなと思っています。」

 

ワークショップの開催については、公式SNSで発信されているので、気になる方はぜひチェックしてみてはいかがだろうか。

 

最後に、今後の目標や夢をうかがってみた。

 

「これからも、「また来たい」と思っていただけるような、みなさんに愛され続けるお店であり続けたいです。あとは、自分よりも若い世代の人たちが和菓子に興味を持ってくれたり、和菓子を好きになってくれたり、自分も和菓子屋やってみたいなって思ってもらえたら嬉しいですね。」

 

60年以上にわたり愛され続ける「みのかも金蝶堂」。これからも、こだわりの詰まったお菓子が、たくさんの人に幸せを届けてくれるだろう。

 

 

 

みのかも金蝶堂

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