この記事は約8分で読めます。
大垣市にある「木のおもちゃ屋tetote」をご存知だろうか。
木製のおもちゃと洋書絵本を取り扱っており、おもちゃコーディネーターの資格を持つ店主にアドバイスをもらえるお店だ。今回は店主の大角 陽和(おおすみ ひより)さんにお話を伺った。
- 手を取り合いみんなで子育てを楽しむ
- tetoteのおもちゃラインナップをご紹介
- tetoteの2つのポイントは?
- めまぐるしい時代の変化の中で大切にしたいこと
- 今後の目標は?
①手を取り合いみんなで子育てを楽しむ
発音がかわいらしい店名「tetote(てとて)」について、大角さんは由来をこのように紹介してくれた。
「親と子が手を繋ぎ仲睦まじい様子をイメージして名付けました。おもちゃを通じて親子の楽しい想い出を綴るお手伝いが出来る場所にしたいと考えています。また、今は地域の方との繋がりや親同士の繋がりが薄いので、そこを少しでも多くの人たちが手を取り合って少しでも楽しく育児ができるようにという想いもあります。」
人が手を取り合う世界を見つめているという大角さんに素敵なコンセプトをご説明いただいた。tetoteは、木のおもちゃを中心にお子様と親御さんがより良い時間を過ごすためのアイテムを販売しているコンセプトショップだ。
まずは大角さんの木のおもちゃとの出会いと、tetoteをオープンするに至った経緯を質問した。
「2人の男の子を子育てしていますが、子どもが色々なものを口に運ぶようになった頃から安心安全なおもちゃを探すようになりました。色々調べていると木のおもちゃの安全性や五感を刺激してくれて発達にも良いことを知り、興味を持ち始めました。ネットで滋賀のおもちゃ屋さんを見つけて、訪ねてみると店内にはカラフルで素敵なデザインのおもちゃがずらりと並んでいました。”すごい!こんなおもちゃがあるんだ”と知って、そこからどんどんその世界にはまっていきました。」
初めてそのお店と出会った時の感動を聞かせてくださった。
しかし、その後お気に入りの滋賀の店舗は閉業してしまうこととなる。
「通い出して数年後経った頃に、そのおもちゃ屋さんが閉業される事になりました。こんなに素敵なおもちゃを買える場所をなくしたくないな、知らない人たちにも広めていきたいなという想いから、オープンするための準備を始めました。不安もありましたが、楽しみな気持ちの方が強かったです。」
こうして滋賀のお店のバトンを継ぐように、ご自分がおもちゃを販売するお店を開くことを決意されたという。これは、大角さんの想いの強さや人となりがとても強く伝わってくるエピソードではないだろうか。
②tetoteのおもちゃラインナップをご紹介
続いてはtetote店内を見せていただきながら、いくつかおもちゃを紹介していただいた。筆者が遊び方をぱっと思いつかないようなクリエイティブなおもちゃたちについて「ヨーロッパ製のアイテムが中心です」と語る大角さん。
「子どもたちが夢中になって遊ぶロングセラーのおもちゃや、オープンエンドトイと言って、遊び方にきまりがない、子どもたちの発想次第でいろんな遊び方や作品になるおもちゃを中心にセレクトしています。県内ではここでしか買えないおもちゃもあって、BAUSPIEL(バウシュピール)やGRAPAT(グラパット)はSNSでも話題で、世界で人気のおもちゃです。他にも家族で楽しめるボードゲームやカードゲーム、英語の絵本も取り扱っています。」
日本ではまだ馴染みが浅いのではないかと感じるオープンエンドトイが、tetoteの店内には多く取り揃えられている。
店内ラインナップについては「これは!というものは定番で置いていますが、これは楽しそうだなと思うものもたまに仕入れています。クリスマスシーズンにはアドベントカレンダーやオーナメントなどの雑貨も販売していますよ。」とのこと。豊富なアイテムたちは店舗のInstagramでも紹介されているので、気になる方はぜひチェックしていただきたい。
③tetoteの2つのポイントは?
tetoteは木製のおもちゃやオープンエンドトイのほか、絵本やボードゲームも販売している。次は絵本について伺った。
「絵本も洋書で、日本語が一切ないタイプの読み物です。おうち英語に興味があって、英語の絵本を読んだり、CDをかけ流しや動画を見たりしていました。私自身は英語は全然話せませんよ。小学校に入ったら英語が始まるので、少しでも小さい頃から英語に触れさせたい、英語を話せるようになって欲しい、いろんな思いでおうち英語を取り入れる方が多いです。」
と、大角さんご自身が英語教育にご興味がある様子について聞かせてくれた。
ボードゲームコーナーでは、「ボードゲームはドイツが本場なんです。3歳前後から遊べるものから置いていて、大人も一緒に楽しめますよ。家族が集まるお盆やお正月にみんなで遊ぶと盛り上がります。」と話してくれた。
tetoteでお買い物をするポイントのひとつは、実際にお子様がおもちゃでお試し遊びができる点ではないだろうか。親御さんのチェックしたものやお子様が興味を持つものを探ることができる親切なおもちゃ屋さん「tetote」。
「店内の商品は0〜6歳向けのおもちゃを置いていますが、小学生の子もおもちゃで全然遊びます。自宅に遊びに来る小学生もたまにおままごとしたり、積み木したりしています。親御さんがこれを買おうかなと思ってきたけど、実際ここに来て子どもに見せたら、全然興味がなく別のものを買われる方もいます。全然違うので遊んでるわーって。」
そして実は大角さんは、おもちゃ遊びに関する資格の保有者。
資格を持つ大角さんに遊び方のアドバイスをしてもらえるのが、tetoteの2つめのポイントだろう。
「おもちゃ屋さんを始めるにあたって”おもちゃコーディネーター”という資格を取りに行きました。その学びを交えながら、このおもちゃはこんな遊びも出来るよ、こんな使い方もあるよと固定概念にとらわれない遊び方も伝えています。また、子どもの発達から、こんなことをする時期で、どんな遊び方やおもちゃがおすすめかを伝えられるようにしています。特にオープンエンドトイはどんな風に遊んで良いか分からないという大人の方からの声も頂くので色んな遊びの工夫も伝えています。」
有資格者さんにアドバイスをもらいながらおもちゃを選べる岐阜のコンセプトショップ「tetote」は、子育て中の子連れさんだけでなく、保育士さんや教育に携わる人の来店もあるそうだ。
④めまぐるしい時代の変化の中で大切にしたいこと
今後お迎えしたいお客様のターゲットについて質問すると「子育て世代の方はもちろん、保育に携わる仕事をする方にも、もっとおもちゃに興味を持って頂きたいと考えています。」と話した大角さんは、現在の保育の方向性について次のように教えてくださった。
「近年では子どもがやりたいことを自ら選択し、考えて行動する”主体性のある保育”にシフトしています。その中では子どもが成長する上で”遊び”が重要視されています。遊びを通して様々な力、人生の基盤となる根っこの部分を育てているんです。そのために遊び込めるおもちゃや環境の作り方などに興味を持つ保育者の方にも足を運んで頂けたら嬉しいです。」
教育の変容に基づいて、おもちゃの認識が改めて考られていくとよいと大角さんは話した。
「おもちゃの認知度も高めていきたいなというのもありますし、tetoteの想いとして子育てしやすいような環境にしていくためにも、少し子育てが楽になるようなヒントが発見できる発信ができるようになるといいなと思っています。」
Instagramの発信のほか、マルシェへの積極参加も行なっているのだという。店舗の外での活動も紹介していただいた。
「お客様として知り合った子ども英会話教室をしている方と一緒に月に1回、0〜未就園児に向けた親子サークルのようなものを開催しています。英語の手遊びや絵本の読み聞かせなどをした後、お子様にはおもちゃで遊んでいただく時間をとり、お母さんたちはお話会をしています。継続利用のお子様は1ヶ月ごとにハイハイできるようになったり、つかまり立ちができるようになったりと成長を感じることがで出来てとても嬉しいです。」
気になる方はぜひ情報をチェックのうえ参加してみていただきたい。
「今は小さい頃からスマホやタブレットで動画やゲームが見られる時代で、親も忙しい時に一人で大人しくしてくれるからつい頼ってしまうという方も多くなっています。ただ、それが常用化してしまうと、小さい子供は特に自分から見るのを止めることが難しく、依存性も高いんです。1日の試聴時間を決めたりルールを決めることも大切ですけど、動画やタブレット以外に楽しめる遊びもたくさん知ってほしいと思っています。それにゲームやってる時ってお互いに顔を合わせてコミュニケーションってあんまりしないですよね。だからこそ、おもちゃやボードゲームで顔を合わせてコミュニケーションをたくさんとって、お互いに絆を築き、誰かと一緒にこんな事したなという想い出をいっぱい作ってほしいです。」
今後は普段、勉強や習い事に追われている小学生向けにボードゲームやおもちゃで遊ぶ会の開催も検討されているそうだ。
⑤今後の目標は?
木のおもちゃの良さや親子の時間を楽しむ家庭を増やしたいという願いを持つ大角さん。
「店頭での販売に加え、現在も行っていますがマルシェで様々な場所を回りお店の認知とおもちゃを広める活動を継続していきます。また、ボードゲーム体験会や、子育て支援などの活動もしていきたいと考えているので一緒に活動して頂ける方も募集しています。そして地域に根ざしたお店にして、おもちゃといえば【tetote】となれるように頑張ります。」
そう語る大角さんに、大切にしている言葉や考え方を伺ったところ、素敵なお返事をいただいた。
「私の父は育てた野菜を家族だけで消費するだけでなく職場や知り合いにお裾分けしたり。思えば、お裾分けできるように育てていたんじゃないかと思うくらい野菜はたくさんあった気がします。今は仕事を引退していますが、部下や周りの職員からも信頼が厚く、地域の人からも頼られる存在でした。私も子育てに役立つ情報や知識をみなさんに伝えていく活動を通してみなさんから頼られる存在になりたいですし、私から刺激を受けた人たちが少しでも子育てや子どもの発達について興味を持って頂けるといいなと思います。」
温かい親子の様子とともに、人々が手と手を取り合う社会についてお考えをたっぷりと聞かせてくれた大角さん。
育児や子育てにお困りの方にとって、大角さんの手助けはとても温かく心強いものとなるだろう。この記事を読んでいただいた方の中から、実際にtetoteを訪れ、大角さんの手助けによりお悩みを解決していただける方が出てくることを願う。