この記事は約7分で読めます。
揖斐郡揖斐川町にある「Comune Lab コムーネイビガワ」をご存知だろうか。
お客様みんなとDIYを楽しむものづくり拠点としてオープンしている施設で、現在は拠点を移し、代表がリノベーション中のスポットだ。本日はコムーネイビガワの代表 村瀬 綾乃(むらせ あやの)さんにお話を伺った。
- ご縁が繋いだ”我らの村”
- バックパッカーとしての経験から
- ものづくりが好きだという思い
- 今後の展望は?
①ご縁が繋いだ”我らの村”
現在は移転先でリノベーション中のComune Lab コムーネイビガワ。以前の場所での活動はどのようなきっかけでスタートされたのだろう。村瀬さんに質問してみると、不思議なご縁のお話を伺うことができた。
「ここを始める前は違う場所でやってたんですが、地元の公務店の会長さんとご縁があり、その方も揖斐川で何かしたいということで、私と気があってですね(笑)。話が合い、そこで始まったのがこのコムーネです。」
コムーネの意味が気になり、由来について聞いてみた。
「これはその会長さんが付けてくれた名前です。英語だとコミューン、イタリア語で読むとコムーネになるんですけど、コムーネというのは最小の自治区という意味です。自分たちで自治をする地域みたいなのが実際にあるんですよね。行政とかに頼らずに、住民の自治みたいな感じの小さい村と言いますか。そういう独立した集合体。そこからイメージして付けました。」
このような経緯でスタートしたComune Lab コムーネイビガワは現在、DIYをお客様と楽しむラボラトリーのような施設だ。
「独立した自分たちの村という感じだから最初は全然木工とかも絡んでないんです。公務店の会長さんが、趣味で一枚板を集めていたんです。私は元々ものづくりとか草木染めとかが好きで、仕事にしてたこともあり、じゃあものづくりの工房みたいな形にしてみよう!って、自然に出来ていきましたね。」
その後お引越しの際にも、ご縁に吸い寄せられるように好みの物件が決まったのだという村瀬さん。
「土のあるところが良かった」と話す新物件も、とても自然豊かで素敵なところだ。ぜひリノベーション後のコムーネイビガワも楽しみにしていただきたい。
②バックパッカーとしての経験から
このような素敵な施設をオープンしようと思い立った村瀬さんは、我が道を信じて素敵な生き方をされている方だ。村瀬さんのバックパッカー時代のお話を伺ってみた。
「20代の時に初めて1人で海外に行きました。そこから定期的に海外に行くようになりました。バックパッカーみたいな事もしましたね。いろんなタイプの旅があるんですが、若い頃はその時々で一瞬を楽しみながら生きる感じで旅をしていました。最近はインドやネパールを中心に訪れました。自分の好きな事を追求するために、有名なところを探して、その場所をずっと回っていく感じです。いろんな文化を見る・触れる旅でしたね。あとは定住するように、ずっと同じところに何ヶ月もいて、本当にただ住んでただけっていう時もあります。」
新型コロナウイルスの流行をきっかけに帰国し、今の工房を始められたという村瀬さんは、海外や旅先での経験が今も濃く活きているのだろう。村瀬さんにとって重要なキーワードは「くらし」だそうだ。
「私にとって「くらし」っていうのが凄く重要なポイントなんです。ここの物件の前には山奥で暮らしていましたが、海外で見て触れた山の人の暮らしっていうのにインスパイアされたからでしょうね。自然に近い生き方だと思うんです。自分で考えて生きる事に凄く重要性を感じていて。与えられた材料ではなく、目の前にある物だけで料理を作るみたいな(笑)。本来なら破棄するような素材を活かして何か作るみたいな。私の喜びを感じるポイントがわかってきたんです。どう生きたいか考えていた時にここに行きついた感じでしょうかね。」
昔から1人で海外を歩くという勇気がいる経験をされてきた村瀬さんは、日本で暮らしていては見聞きすることができないような「くらし」にも触れてきているのだろうと感じることができるお話だった。
日々の暮らしのアイディアを用いてコミュニケーションを取り、それを形にしていくことや、自分たちで使うものを自分自身で作り出す文化を当たり前にしたいという思いを語ってくれた。思い切りがよく、新しい事に飛び込んでいくことができる姿勢が素晴らしいものだと筆者は感じた。
「私は結構お金を使わない生活をしているのではないかと感じます。海外で色々な経験をしてきているから何も不安はないんですよ。もし今お金が無くなったとしても、寝るところと食べることができれば生きていけるので。それに日本なら食べる物なら極論お金を払わなくても自然から採る事もできます。安心安全なものがあって、草だって食べられるし。だから、お金に対しての執着心は感じていないですね。」
生き方と考え方について村瀬さんはそう語ってくれた。
③ものづくりが好きだという思い
そのような経験を経て、ものづくりの工房をオープンされた村瀬さん。元々ものづくりがお好きだった事もあり、DIYも沢山していたのだそう。
「ですが、さすがにそんな工房を開けられるほどではありませんし、木のこともまだ全然知りませんでした。だから、木のお皿ってどう作るの?みたいなところから始まりました。」
「そうか、木のお皿を作るには特別な道具が必要なんだという所から始まり、木工旋盤という機械を知ったんです。それで木工旋盤を習おうと思って大阪に習いに行きました。2日間のコースを受けて使い方は勉強して、あとは実践みたいな感じです。木工旋盤に目をつけたのは面白かったからですね。」
DIYをお手伝いするラボラトリーComune Labコムーネイビガワでは、一枚板や端材をとても良心的な価格で購入することができ、場所代もとてもリーズナブルなお財布に優しい施設だ。
村瀬さんにとっては収入も大事だが、それよりもコムーネを作る事のほうが重要なのだという。
「私はコミュニティを作りたいので、そちらに注力したいというか。ご飯が食べられるぐらい稼げればいいかなと思っているんです。儲けよりもコミュニティ形成。その方がいいかなって思ってます。お客様が来てくれるかはまだわからないし、移転する事で来られなくなってしまう常連様もいるでしょう。これからの事はもちろんわからないのですが、来ていただいたお客様から貰える言葉や、感謝された経験はとっても嬉しい。そうやって誰かの人生に関われると感じたら、これからもやりたいと思いますし、続けていきたいじゃないですか。」
そう思いを語る村瀬さん。Comune Labコムーネイビガワは無料会員制度を導入しており、お店のLINEに事前登録をして「こんなの作れますか?」という連絡をすることができる。
安価な素材販売のわけは村瀬さんの発想力だ。
「安く大量に仕入れて、それを一個ずつ磨いて販売したり、あとは材木屋さんがもう使わないようなものをいただいてきて、磨いています。本当にそこら辺に転がっているようなやつを削ったら、めっちゃかっこよくなった!みたいなのがすごい好きなんですね。だから価値を見出すこと。どうやって見出すかみたいなことを考えています。」
クリエイティブに魅力を引き出すとても素敵な工房で村瀬さんと一緒にDIYをしてみれば、何か素敵なものが生まれるかもしれない。
④今後の展望は?
現在リノベーション中のコムーネイビガワは、村瀬さんの希望や夢がたっぷりと詰まっている。
「思い通りにちょこちょこ手を加えていって、少しずつ実現したいです。あとはやっぱり海外をどうしても絡めたいです。糸とか布とかを仕入れて販売する仕事をしてきたので、それは物作りに関係しているし、そういうのを売っていくのもいいですね。」
また1階のスペースを使用して、飲食物が提供できるようにしてみたいという夢もあるのだそうだ。
「ここを使って、みんなが集まれるようなイベントをやってみたい気持ちはあります。カフェとか、そういうことではないんですが、定期的なイベントを開いて自分が何かやりたくなった時にちょっとできる場所みたいな。いいなあと思います。」
常連様やお客様を集めて交流会のようなイベントを開催してきたこともあるという村瀬さんの夢は膨らんでいく。新しい工房も、まさに素敵なコムーネとなることだろう。
最後に村瀬さんが大切にしている言葉を聞いてみると、ある英語の文章を紹介してくださり、それを村瀬さんが和訳してくださった。
「『人生はどれだけ呼吸したかじゃなくて、どれだけハッとする瞬間に出会えたか。』要するに、人生は呼吸が重要なのではなく、どれだけ息が止まるほどの瞬間に出会えたかが大事という事なんです。旅行の時も、普段の生活でもそうなんですけど、全身に衝撃が走るほどのハッとする瞬間があります。その瞬間を大切にしています。ハッとする、キュンとなる瞬間や断片が、人生にはたくさんあるじゃないですか。そうした瞬間を大切にしていきたいです。」
そう語る村瀬さんはコムーネイビガワを拠点に、周囲の人が息を呑む瞬間をきっとたくさん提供してくれることだろうと感じるインタビューだった。筆者はComune Labコムーネイビガワの再オープンを心から楽しみにしている。