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岐阜市菅原町にある雑貨屋「koti」をご存知だろうか。
古民家をリノベーションして雑貨屋さんをオープンされているお店だ。今回はkotiの店主である西村 知珠(にしむら ちず)さんにお話を伺った。
- 店名の由来について
- 古民家を探して
- koti店主のお気に入りスポット
- バラエティに富んだ花瓶たち
- 大切なお店は自分の居場所でもある
①店名の由来について
古民家をリノベーションしてオープンしたという落ち着いた雰囲気の雑貨屋koti(コティ)。まずはこの店名の由来について店主の西村さんに尋ねてみた。
「店名のkotiっていうのは、フィンランド語で”家”っていう意味なんです。わたしは北欧の雰囲気が好きなんです。それで好きな北欧の言葉で何か素敵な言葉がないかなって思って探していたんです。それで、kotiと名付けました。家という意味も好きですし、コティって響きも可愛くて好きなんです。」
そう語る西村さんはお家で過ごされることがお好きなのだそう。休日は家でゆったりとドラマや映画を見たりとひとりの時間を楽しんでいるのだと話してくれた。
さらに、家そのものも好きなのだそうだ。お”家”が好きな方が、古民”家”で始めた雑貨屋さん。西村さんの”好き”がたっぷり詰まっている素敵な空間だ。
②古民家を探して
西村さんは古民家をご自身でリノベーションされkotiを始めた。古民家でお店をやりたいという強い想いがあったのだ。そして、ご自身で空き家を探して歩き、大家さんと交渉をして今の古民家を見つけたというから驚きだ。
「貸しテナントははじめから頭になかったんです。最初から戸建ての古民家がいいなって思っていたのでこの古民家を見つけた時は”やっと見つけた!”と思いました。」
菅原町でkotiをスタートする前の西村さんは、雑貨屋さんでお勤めをされた後、本郷町で自分のお店をオープンされている。
「昔から雑貨が好きでいつかは自分のお店をやりたいと思っていたんです。なので、修行のつもりでこれまでずっと雑貨屋で働いて色々学んできました。ずっと同じお店ではなく、いろんなお店を経験し勉強させてもらいました。トータルで10年は雑貨屋さんに勤めましたね。それで、そろそろやってみようかな、と思って本郷町で自分のお店をオープンしたんです。」
現在の店舗の前に構えていたお店(本郷町)も、古民家を改装した素敵な店舗だったが、突然の取り壊しが決まってしまい営業を続けることが難しくなったという。
「取り壊しの3ヶ月くらい前に、解体することになったから退去して欲しいという連絡が突然きたんです。それで仕方がなく、半年間かけて歩き回って空き家を探して、今の物件に出会いました。」
ご縁があり、現在の菅野町の古民家でkotiの営業がスタートしたそうだ。
③koti店主のお気に入りスポット
西村さんのこだわりがつまった古民家のkoti。ショップの中にはお気に入りの場所がたくさんあるという。今回の取材では、店内や建物をご案内いただいて西村さんのお気に入りの場所やリノベーションの経緯などを聞くことができた。
レトロな窓がとても印象的な建物だと感じたが、西村さんはこの窓がとてもお好きなのだという。
「この窓が好きなんです。この入り口のモザイク調のガラス、ここが一番好きかもしれないです。」
kotiのお店の作りについても愛情たっぷりに紹介してくれた西村さん。kotiの店舗になっている2階建ての古民家のほかにも敷地内にはもうひとつ古民家があり、倉庫のように使用できる建物が並んでいる。2つの建物は渡り廊下で繋がっており、別館のような作りとなっているのだそうだ。
「向こうにも2階もあるんですよね。渡り廊下はありますが2階は直接は繋がってないんです。やっぱり古いお家の作り方ですね。面白いですよね。」
とても楽しそうに紹介をしてくれた。DIYもお好きだという西村さん。
「店内も、やれるところは自分でやりました。壁を塗ったり、柱も色を塗り替えたり、床にも手を加えました。普通のフローリングを削って、使い古した感じにしてみたりしました。昔、放送していた改装やDIYに密着するドキュメンタリー番組が大好きだったんですよね。DIYを始めたのもあの番組に結構影響を受けたと思います。」
kotiの店内の什器やライトにもこだわっていると話してくれた。あまりの美しさと馴染みの良さに、お客様から「売り物ですか?」と聞かれることも多いのだそうだ。実際取材に伺った際も、つい欲しいと気になってしまう素敵な什器やライトがたくさんあった。
「取引メーカー、雑貨メーカーだったりオークションとかで新品・中古関係なく「自分が好き!」って思えるものをひたすら探すんです。どうせ置くなら自分の好きなものに囲まれたいじゃないですか。」
西村さんのこだわりが詰まったkotiの素敵なインテリアについて話してくれた。
④バラエティに富んだ花瓶たち
西村さんにとって特別なコーナーを案内をしてもらった。そこには、さまざまなサイズや形をした花瓶がずらりと並んでいた。
「私は、お花が好きなんです。それにガラス製品も大好きなんです。それもあって、花瓶自体もすごく好きなんですよね。」
お店に並べる雑貨の仕入れ先として、西村さんご自身がお好きなメーカーさんから商品を仕入れているのだそう。アイテムの雰囲気がどこか共通しており、kotiの店内がひとつの商品のように波長がぴたりと合っていると感じた。
「色目も茶色系とか白色系とかで統一しています。お花も引き立ちますし、可愛いですよね。仕入れているメーカーは、わたしが好きなメーカーなんです。うちのお店は女性がターゲットなんです。ギフトにと選んでいかれる方も多いですね。」
商品を並べるにあたって西村さんが注意しているのは「あまり高価なものを置かないようにすること」なのだそうだ。
「なるべく購入しやすい値段のものを置くようにと意識していますね。雑貨って、生活する上で必ず必要なものではないんですが、日常生活にプラスアルファで彩を与えてくれるものだと感じているので、なるべく手の届きやすい価格設定にしています。」
「雑貨業界って春と秋の年に2回、新商品が出るんですよ。なのでそのタイミングでうちのラインナップも、新しい商品に入れ替わっていくっていう感じですね。」
西村さんが大切にしているお客様へのこころ配りについても聞かせてもらった。
⑤大切なお店は自分の居場所でもある
菅原町にお店を移した頃、世間はちょうどコロナウイルスが流行し始めた時期だった。長く営業してきた本郷町のお客様とのお付き合いが離れて行ってしまうかもしれないという不安や、新しい土地での営業についての不安はなかったのだろうか。
「なかったですね。お店は自分の居場所なんです。お店を持った理由もお金を稼ぎたいというよりも、自分の居場所が欲しかったという感覚ですね。自分がやりたいこと、楽しいと思うことのために働いています。がんばれる原動力は本当にそこにあると思います。」
と話した西村さんは、今後も今まで通りにkotiを続けていけたらいいなという願いを語った。
「これから大きくしていきたいとかはあまり無いですね、今が充分幸せなんです。来店される方の年齢層が広いので、いろんな方と知り合う事ができてとても楽しいんです。これからも粛々と続けていきたいですね。」
西村さんは満ち足りた回答をされた。そう想いを語る西村さんに大切にしている言葉や考え方について尋ねたところ、ご自分のペースを大切にされている西村さんらしい言葉が返ってきた。
「人は人、私は私、という事を常に心に置いています。あまり人に振り回されて影響されてしまいたくはないですね。ひとりでいる事が好きなんです。」
自分の時間の過ごし方をきちんと知っていらっしゃる西村さん。お休みの日はご自宅でゆっくり過ごされるのが好きとのことで、kotiの店内も居心地が良くずっと過ごしていたいような空気が整えられている。長い時間をのんびり過ごして行かれるお客様や、お仕事帰りに寄ってほっとしに来るお客様もいるそうだ。
お客様の満たされる時間を提供してくれる古民家雑貨店koti。これからもkoti独自の時間の流れ方で、お客様と西村さんを幸せにしてくれることだろう。