100万円以下でキャンピングカーの夢が叶う「86ガレージ」を訪ねてみた。

TOM
僕の車の色を塗り替えたいんだけど、場所がないんだよね〜
SARA
86ガレージはガレージを貸してくれるらしいわよ。
TOM
よーし、じゃあ塗装して仕上げにハチミツでツヤツヤコーティングするぞ!
SARA
・・・ハチミツでコーティングって何を考えてるのかしら・・・

 

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瑞穂市にある「86ガレージ」をご存知だろうか。
自分だけの理想のキャンピングカーを製作してくれる会社だ。またガレージのシェアも行っている。今回は86ガレージのあるじさんにお話をうかがった。

 

 

 

今回のツムギポイント!
  1. 自分だけの空間を作れるキャンピングカー
  2. コロナをきっかけにキャンピングカーで日本一周
  3. 災害時にも活躍するキャンピングカー
  4. 建売ではなく注文住宅のようにカスタマイズ
  5. 思い切り塗装ができるシェアガレージ
  6. 一度きりの人生を貪欲に生きる

 

 

①自分だけの空間を作れるキャンピングカー

 

特にアウトドアが好きな人であれば、一度はキャンピングカーに憧れたことがあるのではないだろうか。しかしキャンピングカーは一般的に高価だ。1千万円を超えるものもめずらしくない。なかなか庶民には手が届かない……そんなキャンピングカーをリーズナブルな予算で自分好みに製作してくれるのが、86ガレージである。

 

あるじさんに、まずは「86」という名前の由来についてうかがってみた。

 

「キャンピングカーの箱のことをVAN(バン)と言うことがあります。VANLIFE(バンライフ)という言葉もありますそのバンを数字(バン→バム→86)にしました。」

 

バンライフとは、車を中心としたライフスタイルを指す言葉だ。自由な暮らしを謳歌できる・非日常感を味わえる・ランニングコストを節約できるといったメリットがあり、新しい自由な生き方として注目されているという。

 

「あとは86というのは、海外の飲食店などでよく使われるスラングでもあります。退室・退去・取り除くという意味があるんです。」

 

一説によると、このスラングは1920年代のアメリカ禁酒法時代の密造酒場、86ベッドフォードストリートに由来しているという。警察の襲撃が予告されたときに、客に急いで出るように伝えたのが「86」というスラングだったのだ。

 

どちらかというとよくない使われ方をする言葉のようだが、どのような意図があるのだろうか。

 

「取り除くという意味が、いいなと感じたんです。今は情報社会で、SNSもしかりですが、いろいろな情報が頭の中に飛び込んできます。これはよいことでもあるのですが、一方で他人の目を気にして生きるようになってしまっているんですよね。イイネ!されているかどうかとか、気になってしまうじゃないですか。他人の目とか、不要なものを取り除いて、自分だけの時間や場所を大切にしてほしい、自分だけの空間を作ってほしいという意味を込めています。」

 

他人の評価を気にせず自由に生きる、まさに86(バン)ライフを体現したい方のお店なのだ。

 

そしてあるじさん自身が、まさに86ライフの体現者である。キャンピングカーで日本をめぐった経験があるのだ。さらにキャンピングカーの自作もしている。

 

「キャンピングカーは1千万以上するものも多いのですが、僕はコストを下げたいので軽トラックからキャンピングカーを自作しました。軽トラック型のキャンピングカーの面白いところは、ヤドカリみたいに小屋を載せ替えることができるんですよ。1台でいろいろな遊び方ができるんです。それで軽トラに注目したんです。」

 

トラックの上に家の部分を載せて走る、そして旅の目的によって載せる部分を変える。1千万円以上のキャンピングカーにはできない楽しみ方だ。

 

「お金をあまりかけたくないけど、キャンピングカーに興味がある人たちもいると思うんですね。ハイエース型のキャンピングカーよりも安い金額で楽しめるので、これをやってみようと思いました。」

 

こうして、86ガレージが始動したのだ。

 

 

 

 

②コロナをきっかけにキャンピングカーで日本一周

 

あるじさんはもともと旅が好きで、ずっと海外にいたのだという。なぜ岐阜に戻ってきたのだろうか?

 

「海外には頻繁に行っていました。実は移住する計画もあったんです。ただ、コロナでなかなか行けなくなってしまいました。」

 

コロナ禍が、運命を大きく分けることになる。

 

「当時、ちょうどタイのプーケットにいたんです。そこでコロナの情報が入ってきました。当時はアジアの人間というだけで毛嫌いされることも多々ありました。実は僕は英語を話せないんです。簡単な英語とジェスチャーで何とかしてきました。ただ向こうだと銃を持っている人もいるし、何かあっても英語で弁解もできないので日本に帰ってきました。」

 

そして日本に戻ってきたあるじさんがチャレンジしたのが、キャンピングカーによる日本一周だったのだ。そして日本一周の後半から「次に何をしようかな」と考える。もちろんそこに「企業に勤める」という選択肢はない。

 

「面白そうなことにアンテナを張りながら移動していました。山を買おうかとか、いくつか候補はあったんです。そうしているうちに地元である岐阜の知人から「いい物件があるよ」と連絡を受けました。情報を送ってもらったところ、大きさも家賃も丁度よく、実際に見て決めました。場所は日本のどこでもよかったのですが、岐阜だといろいろな人のつながりもあるし、楽しいだろうなと考えたんです。」

 

 

 

③災害時にも活躍するキャンピングカー

 

86ガレージの強みは、実体験からのアドバイスだ。車中泊で日本全国をめぐったからこそ「こういうのがあった方が便利だよ」と言える。同じようにキャンピングカーで日本一周してみたい、あるいは日本一周とまではいかなくても旅をしたいと考えている人にとって、これほど心強いアドバイザーはなかなかいないだろう。

 

また、あるじさんはキャンピングカーの新たな可能性にも注目している。それは、キャンピングカーを災害時の仮設住宅として利用することだ。実際に能登の被災地を訪れ、その様子をInstagramなどで伝えている。

 

「能登半島の先の方に行ったんですが、道路から何から何までライフラインが崩壊しています。しかも雪も降って寒い。寝る場所も電気も水もありません。そこにはテレビで目にする以上の惨状が広がっていました。キャンピングカーを持って行って、大きい駐車場に停めて、発電機やソーラーパネルを置いて、電力会社の人たちを寝泊りさせていました。」

 

そして、ツムギドットライフの取材の前日に石川県から岐阜に帰ってきたのだという。実際に災害時の予備の家として購入を検討する夫婦から相談を受けたりもしているという。

 

ソーラーパネルを積んでいるキャンピングカーなら、電気を確保できる。電気を貯めておけば冷暖房も使えるしスマートフォンも充電できる。タンクの水さえ確保できれば、水道やシャワーも使える。そしてトイレ付きのタイプもある。

 

避難所で知らない人と薄い仕切り1枚で寝泊りしたり、感染の危険におびえるよりも、ずっと暮らしやすいかもしれない。さらにペットと一緒に暮らせるメリットも大きいだろう。昔にはなかった新しいニーズが生まれているのだ。

 

 

 

④建売ではなく注文住宅のようにカスタマイズ

 

あるじさんは今後、どのような方に86ガレージに来てほしいと考えているのだろうか。

 

「自分に合ったキャンピングカーを作りたいと考えている方です。先日、日本最大のキャンピングカーショーに行きました。中には3000万円以上するものもありました。ハイエース型でも1000万円を超えるものが多いです。そして多くのキャンピングカーは生産性も考えてある程度決まった間取りが多い。その間取りに満足しないユーザーも少なくはありません。」

 

あるじさんはキャンピングカーも住宅と同じだと話します。

 

「住宅にも建売と注文住宅がありますよね。建売の方が良いという人ももちろんいます。しかし、自分に合ったものが欲しいというニーズも絶対にあるんですよね。釣りが趣味の人など、いろいろな用途に合わせたデザインができるのが、うちのような小さなガレージの強みです。あとは価格です。個人で作るので何千万円もしません。100万円以下から作れます。自分だけの注文住宅を、低コストで作れるイメージです。」

 

たとえば釣りが趣味だとしたら、釣り竿などをしまう収納スペース、魚を洗ったり手を洗ったりするための大きめの水道タンク、魚を調理するためのダイニングスペース、それに換気システムなどがあるとよいかもしれない。自分だけの秘密基地みたいで、考えただけでワクワクしそうだ。

 

 

 

 

⑤思い切り塗装ができるシェアガレージ

 

86ガレージでは、倉庫の場所貸しもやっている。塗装したいものがあるけど、できる場所がないというときに、ガレージを借りて作業できるのだ。

 

「僕もそうだったんですが、キャンピングカーを作りたいと思っても、場所がなくて困っていたんですね。こういう場所があれば便利なのになと思っていたので、貸すことにしたんです。」

 

たとえばキャンピングカーをあるじさんに作ってもらうのではなく、自分で作りたいという場合は、場所を借りられる。しかも困ったときは相談もできるのだ。

 

Instagramには、ハイエースを塗装したカップルが紹介されている。

 

「旅先で知り合った神奈川の人たちなのですが、塗装できるところがなくて困っていたんです。DIYだけならさせてくれるところはあるのですが、塗装は床が汚くなるので、NGのところが多いんですよね。その点、うちのガレージなら、僕も塗装していますからね。彼らもいろいろ検討した結果、結局うちが一番安いからということでここまで来てくれたんです。」

 

あるじさん自身、ガレージを借りる前に青空の下で塗装して、大変な目に遭ったという。

 

「ガレージの強みは風が入って来ないのと、天候に左右されないことです。あと虫もけっこう面倒くさいんですよ。塗料の匂いに虫が寄って来て、引っ付いたら取れないんですよ。すごく汚くなるんです。ひと通り苦労を経験したので、塗装についてもいろいろアドバイスできます。」

 

キャンピングカーに限らず、自分の車や他のものを塗装したいけど場所がないという場合は、ぜひ86ガレージに相談してみてほしい。

 

 

 

⑥一度きりの人生を貪欲に生きる

 

あるじさんに今後の展望についてうかがってみた。

 

「ここから何台もキャンピングカーが生まれればいいなと思っているので、まずはそこに向けて力を注ぎたいです。30代でガレージを柱とした事業をいくつか作って、40代になったら村を作ってみたいと考えています。」

 

100社以上に取材をしてきたが、村を作りたいと言った人は初めてだ。

 

「キャンピングカーで日本を旅しているときに、実は村の候補になる山も探していたんですよ。儲けたいというよりは、自分が楽しく生きたい。自分がわくわくすることで、少しでも生きていくためのお金が生まれれば、それでいいかなと思っています。」

 

そんなあるじさんの生き方は、座右の銘にも表れている。

 

「格好いい言葉ではないですが「どうせ死ぬやん」です。もちろんめっちゃ生きたいですし、死にたくないですが、人生って必ずどこかで終わるじゃないですか。」

 

確かに、どんなに大富豪だろうが偉人だろうが、悪人だろうが善人だろうが、等しく命の終わりは訪れる。

 

「全力で生きないともったいないという気持ちが強いですね。命に対して貪欲というか「もったいない」という精神が強いのかもしれません。1日は24時間しかないのに、やりたくないことで一定時間拘束されるのは無理なんですよ。どうせいつか死ぬのなら、多少の無茶をしたとしても楽しく生きたい。楽しくない状態で生きていても、意味がないなと思っています。」

 

86ガレージは、単なる車のカスタマイズを超え、個人のライフスタイルそのものを変えるビジネスを行っている。キャンピングカーを通じて自由なライフスタイルを追求しているあるじさんの生き方に触れれば、人生のヒントをもらえるはずだ。日本ではどこにいても、いつ災害に遭うかわからない。シェルターとしてだけではなく、人生を豊かにする冒険の相棒を、この機会に手に入れてみてはいかがだろうか。

 

 

 

 

 

86ガレージ

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