世界に1本しかない自分のホイールを作ることができる「株式会社クアート」を訪ねてみた。

 

 

TOM
サラ、アメ車に乗ったことある?
SARA
乗ったことはない。カッコいいよね!乗せてくれるの?
TOM
じゃあ今度、僕のラジコンでドライブしようか?
SARA
・・・ラジコンのアメ車だったのね・・・

 

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各務原市にある「株式会社クアート」をご存知だろうか。自社でカスタム車両を製作したり、好きなデザインのホイールを製造する、アメ車愛に溢れた唯一無二の自動車ディーラーだ。今回は株式会社クアートの代表取締役の酒向 力人(さこう りきと)さんにお話をうかがった。

 

今回のツムギポイント!
  1. 借金1,000万円からの起業スタート!発想の転換が生んだ決断
  2. 「好きこそ物の上手なれ」好きが生み出す圧倒的な強み!
  3. 「お客様と一緒に車を作るのが楽しい」がやりがい!クアートが紡ぐ4輪の芸術作品
  4. 「若者の車離れをなくしたい!」クアートが夢への一歩を後押し
  5. 夢は世界に認められるクアート!お客様に選んでいただける店舗へ

 

①借金1,000万円からの起業スタート!発想の転換が生んだ決断

 

自社でオリジナルホイールを製造したり、カスタム車両製作を強みとする株式会社クアート。アメ車が圧倒的に占めているが、オールジャンルの車やバイクも取り扱っている。酒向さんは年に4回ほどアメリカに渡航し、現地で自らの目で見て、パーツや車の買い付けをするという徹底ぶりである。

 

こうした地道な活動やアメ車への熱量の高さが信頼を生み、テレビや雑誌などさまざまなメディアから取材を受けている。雑誌では『アメ車マガジン』に毎月掲載され、『モーターゾーンTV』には2ヶ月に1回は出演しているという。

 

「番組がご縁で、某芸能人とも仲良くさせていただき、一時期はその芸能人さんの車を任されて触ったりしていました。」

 

芸能人の車も任されていたのは、クアートが評価されている証だ。そんなクアートだが、起業したのは9年前で、酒向さんが21歳のときだった。当時は別の自動車ディーラーで働いていたが、もともと独立志望の想いがずっとあったという。

 

「独立のために、人より働こう、技術を習得しよう、知識を得ようと、無我夢中で働いていました。前の会社では板金・カスタム・整備・販売と全般的に業務に携わっていたので、今の自分なら独立できるのではないかと、根拠のない自信のもと始めてしまいました。」

 

とはいえ、サラリーマンから独立するのはさまざまなリスクが考えられるため、不安はあった。実は、1,000万円を借金してのスタートだったからだ。

 

「融資してくれる銀行と事業計画を練っている中で、初期投資費用の概算を計算すると1,000万円が必要だと分かりました。金額が大きいため不安もあって少額で始めればよかったんですけど、前の会社と同等の機材とクオリティをどうしても重視したかったのです。」

 

このとき酒向さんは、新車の最上級グレードのアルファードを1,000万円で購入することと比較したのだった。

 

「アルファードはリセールバリューが高いので買う人がいますが、一方で私も工場の設備を資産として買います。最悪の場合、失敗して売却したとしても、半分の500万円の借金になるだろうと計算しました。500万円であれば返せないことはない。」

 

まさに発想の転換で、起業という大切な節目の決断をしたのだった。酒向さんの情熱とリスクを恐れず挑戦する姿が、今のクアートの成功につながっていくのだろう。

 

 

②「好きこそ物の上手なれ」好きが生み出す圧倒的な強み!

 

クアートの強みは、自社でオリジナルパーツを製造している点である。アメ車のボディキットやホイールまで自社で製作している自動車ディーラーは、他に耳にしたことがない。ちなみにクアートでは、『エスカレード』の車種を先行してオリジナルパーツを製造している。

 

エスカレードのパーツを海外から取り寄せると、生産台数が追いつかず入手困難で、さらにボディキットで300〜400万円ほどの高価格になっている。国内では、他に1店舗あるがオリジナルパーツの製造は行っていないのが現状だ。

 

酒向さんは、現状を踏まえて、自分でかっこいいと思うものを作りたいと考えた。ではなぜ、競合他社は取り組まないのか?理由は市場ニーズの不透明さとコスト面だと話す。

 

「エスカレードのオリジナルパーツを製造するのは、ある意味博打です。例えば、国産の代表車種と比較して売れ行きを予想したら、圧倒的に国産の車種が売れると思うからです。それでも私はアメ車で挑戦したかったのです。」

 

酒向さんは、ビジネスの重要な局面で選択するとき、『好きこそ物の上手なれ』という言葉に当てはめて判断をしている。

 

「迷ったとき、損得は一旦考えずに、自分がかっこいいと思う方を選びます。それこそ、歴代のエスカレードは全台乗り継いでいるし、それぐらいエスカレードが好きなのです。」

 

酒向さんにとってエスカレードは特別な想いがある車だ。20歳で初めて買った車であり、それを機にアメ車にのめり込んだ。アメ車を強化したいとクアートを起業したきっかけもエスカレードであった。

 

「全国的に、クアートの有名車種といえば『エスカレード』というイメージを持っていただいていたので、1%の可能性に賭けてエスカレードのパーツを作りました。」

 

ボディキットは、プロの車の設計士と共同で考案し、空力設計を行うほどのこだわりようだ。社長の並々ならぬエスカレード愛は、お客様にも確実に伝わっている。

 

 

 

③「お客様と一緒に車を作るのが楽しい」がやりがい!クアートが紡ぐ4輪の芸術作品

 

「オリジナルパーツを作るからこそ、お客様と一緒に車を作るのが楽しいと思えるのです。」

 

これが酒向さんの仕事のやりがいだ。クアー卜のホイールは、自社オリジナルブランド『I.C.E FORGED』を立ち上げ、お客様ごとにオリジナルのホイールを作ることができる。これも圧倒的な強みだ。

 

もともと、酒向さんが好きなホイールブランドとして、FORGEATO(フォージアート)やLEXANI(レグザーニ)の正規取扱店として販売していた。フォージアートのノーマン社長とは、アメリカ渡航時には一緒に食事をするほどの仲である。その一方で、現在は自社のブランド力を高めていきたいと考えている。

 

「為替の影響で、お客様へ提示する価格が高くなっていたので、クアートのオリジナルホイールブランドを立ち上げました。コストを抑えたうえで、鍛造で作って、リーズナブルな価格で提供することをコンセプトとしています。」

 

アメ車やスーパーカー、欧州の高級車の相場で考えると、かなりリーズナブルな金額設定となっており、ユーザーファーストの姿勢が感じられる。オリジナルホイールは、お客様の要望をヒアリングしたうえで、デザインを作り、CGで起こして製作する。製作にあたり、日本の強度計算の『JWL』規格をクリアしており、安全に使えることを証明しているから安心だ。

 

「まさに、世界に1本しかない自分のホイールを作ることができます。」

 

 

ちなみに、クアートの社名の由来は、『クワトロ』の4つという意味を引用したという。

 

「私たちは、4輪の車に携わる中でカスタムに特化しています。そのため、車を一つのアートの作品として世の中に出し、お客様へフィードバックするという決意から『クアート』と名付けました。だから製造したものには『クアートとお客様が一緒に作る4輪の芸術作品』という想いが込められています。」

 

オリジナルパーツの製造の裏に隠された、クアートからのメッセージである。この想いを原点として、今日も世界に1本しかないホイールを製作している。

 

 

④「若者の車離れをなくしたい!」クアートが夢への一歩を後押し

 

酒向さんがアメ車と出会ったきっかけは、地元の先輩の影響だった。先輩が購入したエスカレードを見た酒向さんは、すぐにアメ車のかっこよさに魅了された。先輩にホイールの値段が100万円すると聞いて、驚きとともに一気にアメ車に憧れたという。

 

「私にとってアメ車はマシンです。国産車にはない角張った仕様や、ソファーのふわふわ感、カスタムによって違う表情を見せる唯一無二なところが魅力です。故障することもありますが、個人的には『故障するのもアメ車』という感覚があります。アメ車は手を掛ければ掛けるほど可愛くなります。ワクワクが止まりません。」

 

アメ車愛が溢れる酒向さんだが、高校から車の仕事に就くためのキャリアをスタートさせている。高校は土岐にある『中部国際自動車大学校』に通いながら、自動車整備士三級を取得。大学は『中日本自動車短期大学』へ入学して、自動車整備士二級を取得し卒業した。ちなみに、大学時代に前の会社で経験を積んでいたという。

 

現在も母校と交流がある。学園祭やオープンキャンパスのときにオファーがあり、クアートの車を展示したりと、ボランティアとして積極的にイベントにも参加している。その甲斐もあり、卒業生が新卒としてクアートへ入社しているという。

 

「若者が育って、クアートに就職してもいいし、とにかく若者の車離れをなくすきっかけにしたいです。それが、クアートや車業界全体のメリットにつながると思っています。高校生と車の話をするのが好きで、キラキラした目を見るのは楽しいですよ。」

 

ちなみに今の高校生が選ぶ人気ランキング1位の車は、アメ車の『チャレンジャー』だという。アメ車が1位という驚きの結果だが、人気の理由は、映画『ワイルド・スピード』の影響によるものだ。アメ車ブームが起きている今だからこそ、酒向さんをはじめとするクアートにとって、世の中の若者にアメ車の魅力を発信するチャンスである。

 

「車に興味を持っている子であれば、みんな遊びに来てほしいです。来たらその魅力にハマるでしょう。私は、車に対して不安に思っていることを取り除いて、背中を押してあげたいです。」

 

誰しもアメ車への興味はあるけど、最初の一歩を踏み出すのに躊躇するものである。逆に言うと、一度乗ればその魅力がわかり、アメ車に魅了される。自身のリアルな経験をもとに、若者の夢の後押しをしたいという酒向さんの願いが伝わってくる。

 

 

⑤夢は世界に認められるクアート!お客様に選んでいただける店舗へ

 

クアートの最終目標は、世界で一番大きいカスタムCarショーである『SEMAショー(セマショー)』で、賞を取ることだ。セマショーは、毎年10月末にアメリカのラスベガスで行われており、現地のコンベンションセンター全てを使うほど大規模で開催されている。

 

「Made in Japan(メイドインジャパン)として、自分たちが胸を張ってカスタムした車を展示して賞を取りたいです。そこで認められたら、世界で認められたようなものです。」

 

その目標を自分だけではなく、社員にも同じ方向に向かってほしいという想いから、社員旅行でセマショーに連れて行ったという。

 

「私が見ている景色とスタッフとの目線を合わせたくて、目指している最終的なゴールはここだよということを見せたかったのです。」

 

社員の方にとっても貴重な体験と機会を得られて、ゴールが明確になったのだろう。楽しそうに仕事に取り組む姿勢からそれが伝わってくる。

 

その一方で、最近のアメ車ブームもあって、アメ車への知識が不足したまま取り扱う店舗が増えている。例えば、ネットオークションでアメ車を仕入れて販売するが、周辺知識が乏しいためその後のフォローができないという店舗だ。

 

結局、困ったお客様がクアートに駆け込んでくることになる。知識を修得したうえで販売するのであれば問題ないが、一番困るのは購入したお客様だ。このことについて、酒向さんは危機感を持っている。

 

「せっかくアメ車のブームが来て業界が盛り上がろうとする中で、水を差すことになります。なにより、お客様がアメ車に対して嫌なイメージを持つことになるので、残念で仕方ありません。アメ車を買われるなら、どれだけいいパートナーとつながれるかが重要なので、店舗選びが鍵です。」

 

車検を一つ取り上げても、店舗選びの重要性がわかる。最近の車検は厳しくなっていて、例えばライト周り。以前はハイビームで通していたが、最近はすれ違い用のロービームで通さなければならないという。このように周辺知識を修得している店舗を選ばないと、車検を通せなくなるかもしれない。だから店舗選びが重要なのだ。

 

クアートは、これからもアメ車のプロとして、最新情報を取得しながら、柔軟に丁寧に対応する。いつでもお客様に選んでいただける店舗としてあり続けるのである。

 

アメ車への興味や憧れをお持ちの方、愛車のカスタムを考えている方は、ぜひ一度クアートへ訪れてみてはいかがだろう?クアートの専門知識と情熱が詰まった車を、実際に見て触れて体験できるだろう。クアートであなたの夢を叶えてみよう。

 

 

 

株式会社クアート

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