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岐阜市神室町にある「megriko」をご存知だろうか。
店主のファッション愛が詰め込まれたオールジャンル古着のお店だ。今回は代表の畑中 恵里(はたなか えり)さんにお話を伺った。
- megriko開店
- 自分の”好き”を詰め込んで
- 柳ヶ瀬商店街の魅力
- 資源の巡る場所に
- なんとかなる。なんとかする。
①megriko開店
megrikoは柳ヶ瀬商店街アーケード内にある古着屋さん。ファッションの楽しさや布の温もりを感じさせてくれるお店は、店主の畑中さんが一念発起して始められたそうだ。
「古着っていうのはめぐりめぐって私の所に来て、次の誰かの手に渡るものです。megrikoという社名にはそうした意味も込めてます。もうひとつの意味は、むかし猫を飼っていたのですが、名前がグリコでした。私の名前に恵が入ってるので、かけ合わせています。」
想いが詰まった社名の由来を紹介してくれた。かわいらしい発音のmegriko。
「他とかぶらないような名前にしたくて、覚えやすいし響きがいいなって考えた名前なんです。」
畑中さんご自身が古着のみならずファッションが大好きなのだそうだ。
「色々な系統を着て楽しんでいましたが、結局最終的に戻ってきたのは古着だったんですけど、ファッション全体が好きなんです。」
megrikoをオープンする前、洋服に関するお仕事をされていたという畑中さん。
「8年ほど勤めていました。自分が30歳になる前に独立についてすごく悩んでいたんです。それで、今ここでやらなかったら多分やらないぞと思って、オーナーに”辞めたいです。独立したいです。”ってお話しさせていただいて今に至ります。」
その時のオーナーさんは快く送り出してくれ、現在も応援してくれていると嬉しそうに話した畑中さん。当時のお仕事について
「私は仕入れが一番好きでした。色んな服に出会えるので、とてもワクワクするんです。」
②自分の”好き”を詰め込んで
megrikoのラインナップにも繋がる畑中さんの好きなものを少し紹介してもらった。
「アメリカの刺繍ものにすごい惹かれて、こういう感じの商品を置きたいなと思ったんです。あとは、自然由来の染めものとか、アメリカの独特の染色技術で作られてるものとか色んなものがあります。伝統工芸に近いですよね。」
megrikoの特徴のひとつは、ジャンルや産地、製法にとらわれない商品ラインナップだろう。
「アメリカ製とかヨーロッパ製とか、日本製とかいろいろあると思うんですけど、わたし自身がいろいろ着るし、どの国の物でも好きみたいなところがあって。好き!っと思ったものを着たいタイプなので、国内外問わず、年代も問わず、自分がいいなって思ったものを仕入れている感じです。」
年代やジャンルにとらわれず、いろんな種類を販売しているmegriko。
「うちはお客様のリクエストアイテムを仕入れたりもしてます。いい感じのバランスって結構難しいんですけど、リクエストにも答えてあげたいし、気に入って足を運んでくださるお客様に対しての気持ちもあります。」
お客様密着型の古着屋の良い点を話してくれた畑中さん。ご自分の好みとのバランスについて難しい点もあるとお話しをされたが、店内はとても胸が躍る素敵な空間だった。
③柳ヶ瀬商店街の魅力
開店前に物件を探している中で畑中さんがこだわったのが「柳ヶ瀬商店街のなかでお店をやりたい」ということだったという。
「私も柳ヶ瀬で長年勤めてたんですが、『こういうことがあってさ~』「なになに?何があったの?」みたいな感じで、話しをしに来るお客様と話すのが大好きなんです。帰る場所のような、和やかな場所でありたいと思っています。私も仕事終わりに寄るのは絶対この辺りなんですよね。近くのおばあちゃんが開いているお店でおやつ買ったりとか、チラシくれるおばちゃんと喋ったりとか、なんか雰囲気がとってもいいんですよね。」
柳ヶ瀬の魅力をたっぷりと語ってくれた。
そうした魅力をより広く届けていき、柳ヶ瀬に遊びにいきたいなと思ってもらうきっかけのひとつにmegrikoもなれたらいいなという想いがあるという。気さくな畑中さんなら、きっとなしえるであろうその夢を筆者も強く応援したいと思った。
④資源の巡る場所に
megrikoで挑戦してみたいことが多くあるという畑中さん。その中のひとつに、megrikoを布や資源、工芸を巡るひとつの拠点にしたいという願いがあるそうだ。
「リメイク、刺繍刺し、パッチワークとか自分でやってみたいなという想いがあります。もうひとつまだ難しいかなということなんですけど、破れちゃったり捨てざるをえない服たちを引き取りたいと思っています。私一人の力は僅かですが、繋げていけたらなと思います。昔のものって、今にない素材と作りと配色のパターンがたくさんあってとても魅力があるので、そういうものをまた違う形で届けていくっていうのは、目標であり夢です。」
リメイクをしたりと手を加えて、着られなくなってしまったお洋服を誰かに喜んでもらいたいという畑中さん。着物にも興味があるようで、古くなってしまったけれど美しい着物をめぐらせていきたいとも考えているのだそうだ。
「買取というよりは、フェアトレードみたいな形でできたらいいなって思っています。皆さんの反応を見つつ、どのようにしたら気持ちよく譲ってもらえるかなって感じですね。」
またひとつ、柳ヶ瀬で素敵な取り組みが始まるのかもしれないと筆者はとてもワクワクした。実現したその後は、大切な服の生まれ変わりを求める人たちの救いの場となってくれたら嬉しい。
megrikoで挑戦したいことが他にも数多くあるというなかで、「続けることが一番難しいんだなっていうのは、すごく身に染みてわかった」と語る畑中さん。現在ちょうど、これからのお店のあり方を悩んでいる最中だという。
「コロナ後のここ数年、いろんな働き方とか、みなさん変わっていく時期かなって思いました。それでこれまでと違うアプローチとか、手探りだけど新しいリメイク運営を検討したり、普通の店舗としてやるだけでは多分足りないと思っています。最近は多店舗展開も視野に入れはじめたようで、やるとしたら、どうしようか、どうやってやっていこうかと考えています。」
とても楽しそうにワクワクした様子で話してくれた。
⑤なんとかなる。なんとかする。
畑中さんに、仕事をする上で大切にしていることを聞いてみた。
「やはり、お店を経営していく上で売り上げはとても大切です。売り上げがなければ、仕入れもできませんから。お店を続けていくには、ビジネスとして割り切らないといけないところもあります。ですが、このお店に関しては、ビジネスに固執して利益目的の運営が嫌だから独立して始めたので、ビジネスに重きを置くとぶれる気がしてしまいます。」
畑中さんの座右の銘は「なんとかなる、なんとかする」だと話してくれた。
「売り上げ第一はやはり私のやりたいことではないので、今後も私がやりたいことを続けられる様に、どうしていくのが一番なのか考え続けます。きっとなんとかなるし、なんとかしますよ。」
畑中さんは明るく話してくれた。今後も、きっと「なんとかなる、なんとかする」の精神で良い方法を見つけていくのであろうと感じさせてくれる取材であった。
お客様との繋がりや関わりを大切にする古着屋さんmegriko。インターネットショップではできないリアルなご縁と関わりを大切にしお客様を優しく包み込んでくれる畑中さんのお店は柳ヶ瀬商店街でこれからも輝き続けるだろう。
今後のmegrikoとお客様の素敵な巡り合いに是非、足を運んでみてはいかがでしょうか。