靴作りの楽しさを伝える「ジョウノ靴工房」を訪ねてみた。

TOM
どこか旅に出かけたいな~
SARA
素敵な靴は、自分を素敵な場所へ連れて行ってくれるらしいわよ。
TOM
本当に!?じゃあ早速靴を4足買ってくるよ!
SARA
・・・そこはリアルクマなのね・・・

 

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美濃市にある「ジョウノ靴工房」をご存知だろうか。
美濃市の「うだつの上がる町並み」内にあるオシャレなお店。そのお店で靴教室を開いている工房だ。今回はオーナーの望月茜(もちづき あかね)さんにお話を伺った。

 

 

 

今回のツムギポイント!
  1. 靴作りに出会うまで
  2. 「ジョウノ靴工房」の誕生
  3. こだわりのタンニンなめし
  4. 靴教室の様子は?
  5. 今後の展望

 

 

①靴作りに出会うまで

 

三重県の出身だという望月さん。大学で東京へ行き、油絵学科で学んだそうだ。以前より、ものづくりが好きだったという望月さんが靴作りに出会うまでのお話を伺った。

 

「大学3年の秋ぐらいに初めて靴作り教室に通ったのがきっかけで、靴っていいなって思うようになりました。私の友達の知り合いの方が靴作りの教室をやっていたんです。それで1日体験ワークショップがあるから一緒に行かない?って友達に誘われて。でも結局友達は予定が合わなくなってしまい行けなくなっちゃったんです。でも、とても気になっていたので一人でも行ってみようと思って1日体験ワークショップに参加したのが始まりでした。」

 

とても運命的な靴作りとの出会いを果たしているように筆者には思えた。大学を卒業する時に、望月さんは自分が靴を作ることが好きだという想いを大切にして、靴作りのメーカーに就職したのだと言う。

 

靴作りへの溢れんばかりの熱い想いがあり、自分の知らない靴作りについて興味が止まらなかった。当時の様子について聞かせてもらうことができた。

 

「大学を卒業し、何をしようかと考えていた時に私は靴を作るのが好きだなと思って、靴を作るメーカーに勤めました。私の担当は、底付けと言って靴を形作っていくパートでした。靴作りって凄く工程が多いんですけれど、流石に全工程に携わることは出来なくて。それでも、知りたいしやってみたかったので、会社に勤めながら別の工房に通って、そこで靴作りを教えてもらっていました。」

 

望月さんの靴作りに対しての情熱と知識欲に改めて脱帽した。偶然一人で行く事になった靴教室が、望月さんの人生をも変えたとても感慨深いお話だった。

 

 

 

 

②「ジョウノ靴工房」の誕生

 

靴メーカーで7年勤めた後に岐阜県美濃市にやってきたという望月さん。関東では自分のお店を持たれておらず、移住と同時のスタートだったと聞いた。

 

さらに移住が決まっていた2020年の始めごろに、未曾有のコロナウィルスが流行し始めてしまった。しかし、予定を変更することなく、旦那様と猫ちゃんとで岐阜へやってきたという。

 

「私の生まれが三重県だったので東海圏で移住先を探していたんですけど、その中で岐阜っていいなって思ったんです。ものづくりも結構盛んですよね。美濃和紙があったり、美濃焼きがあったり。私もものづくりをしていた人間なので、それで気になって岐阜をちょっと見てみよう、と実際に下見に来たという感じです。空き家でお店と自宅を一緒に見つけることができて、コロナの流行前には家ももう決まっていて引っ越すばかりの状態でした。」

 

ものづくりをする中で、岐阜に興味を持って移住してきてくれたというのは岐阜県生まれ岐阜県育ちの筆者には、とても嬉しいと感じるお話だった。移住から1年ほど準備をして、2021年4月にオープンしたという靴工房。気になる”ジョウノ靴工房”の名前の由来について尋ねてみた。

 

「実はジョウノが私の旧姓なんです。ジョウノっていう苗字自体が珍しかったのでジョウノって何?どんな意味があるの?ってよく言われるんです。」と望月さんは笑いながら話してくれた。

 

 

 

こだわりのタンニンなめし

 

ジョウノ靴工房で仕入れている革は”植物タンニンなめし”という製法で作られたものだという。昔ながらの製法である植物タンニンなめしの特徴を望月さんはこう話した。

 

「ここで使っている植物タンニンなめしっていう革は、使っていくとどんどんツヤが出たり、色が変わっていったりと使えば使うほどそれぞれの味が出てくる革なんです。どんどんその人らしさが出てくるので、長く大切に使って欲しいっていう意味で、そういう革の方がいいのかな、と思って選んで使っています。」

 

革製品の良さは、まさに”世界に一つだけの味”にあると思う。ましてや靴に関して言えば、自分の足に馴染むので最高の履き心地になるであろう。

 

ジョウノ靴工房には、靴作り教室の生徒様たちへ向けた見本として、さまざまなカラーバリエーションの革や、望月さんお手製の靴の仕上がり見本が飾られている。気になる方は是非一度連絡をしてみてほしい。

 

 

 

 

④靴教室の様子は?

 

ここからは気になる靴作り教室の様子について伺った。あまりメジャーな習い事ではないように感じた靴作り教室。初めは少し不安になってしまう気持ちもわからなくはないが、望月さんいわく初めて靴を作る生徒さんがほとんどだという。

 

「きっかけは色々ですね。靴好きな人、靴は全然知らないけど、ものづくりが好きな人など様々です。生徒さんは一番若い方で今20歳の子が来てくれています。一番年長者の生徒さんは74歳の方がいらっしゃっていました。男女比は半々ぐらいですかね。」

 

週に1度2時間のクラスの中で靴作りをして、概ね4~5ヶ月で一足を仕上げていくのだという。

 

本当に初心者でも、不器用な人でも出来るのだろうかと心配になってしまうほどのスピード感だったが、「一つ一つの工程は難しくないので、本当に誰でも作れますよ。」と望月さんは語る。

 

確かに、望月さんの柔らかい接し方や、お話の仕方を聞いていると出来そうな気がする。

 

「不器用なんですとか、ミシンを使った事ないんですとおっしゃる方が沢山いるんですけど、完成しませんでしたって人は一人もいないです。スニーカーのようなものであったりとか、難しそうな構造の物でも、結構何でも作れるんです。こんなの作れますか?と生徒さんから質問をいただくのですが『私…それ作れるかな?』みたいなのも結構あるんです。できるだけ生徒さんが作りたい靴を作ってもらいたいので”出来ない”というのはなるべく言わないようにしています。」

 

自分がずっと大切にしていくであろうご褒美のような靴だからこそ、作りたいものが一般的な革靴のスタイルと離れていても望月さんは出来ないとは言いたくないのだという。

 

事実、話の中で出てきた「スニーカーのような革靴」を見させていただいた。筆者は驚き、これが革靴ですか?と思わず言ってしまったほどだ。一見、本当にスニーカーなのだ。望月さんも過去に経験はなかったそうなのだが、なんとか形にしたいと思い出来上がったのだそう。

 

ご多用の中、時間の合間を縫って来てくださる方・わざわざ遠方から足を運んでくださる生徒様がいるからこそ、出来る限りの要望に応えたいのだ。

 

靴作り教室「ジョウノ靴工房」。そこは、靴作りを教えてくれる望月さんが実際に靴作りをして楽しかった経験や想いがたくさん詰まっている教室だ。

 

 

 

 

 

⑤今後の展望

 

ものづくりが好きで美術系の学校にも通われた望月さん。自身が靴作り教室に通われた時に楽しかったなという想いを大切にしており、そういった場所を提供したいという想いがあるのだそうだ。

 

「昔私が行った靴作り教室の雰囲気がすごく素敵でした。みんなで靴作りをしながら全然関係ない話をしたり、ワイワイわちゃわちゃして(笑)。教室が楽しかった記憶が凄くあるので、そういう場所を作りたいんです。私もそうだったんですけど、会社員だった時しんどいなって思う事があっても靴を作っていると何となく心が落ち着いたので、ここもそういう場所にしていけたらいいなっていうのはありますね。」

 

どんな些細なきっかけでも靴作りを知ってもらって、靴作りをやろうと思う人がどんどん増えていくと良いなと考えているそうだ。さらに靴教室の魅力について、望月さんはこう話してくれた。

 

「靴って完成したものを見ると、これが本当に作れるの?って、皆さん思われるんです。でもそれは、作る過程を想像できないからであって、一つずつは全然難しいことじゃないんです。その一つ一つの工程を繋いでいくと一足の靴の形になるって本当に面白いなと思っていて。あとは実際に身につけて日々を過ごせるのがいいですよね。飾っておくんじゃなくて、毎日使えるものを作るんですよ。」

 

そう話す望月さんは、とても輝いて見えた。そんな望月さんが大切にされている考え方は「ほどほどに」だという。苦しくなりすぎず、頑張りすぎず、ホッと息をつける場所が日常に欲しいなと考えている人は是非、ジョウノ靴工房で靴作りをしてみてはいかがだろうか?そして、自分だけの靴で新しい旅に出てみるのも悪くはないだろう。

 

 

 

 

 

ジョウノ靴工房

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