そうだね!綺麗だし迫力もすごいよ!
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岐阜市長良にある「&n(アンドン)」をご存知だろうか?
長良を盛り上げたいという想いのもと様々な活動を行い、今では長良川の花火大会にも大きく携わる組織である。
そんな地域活性に励む &n(アンドン) を訪ねてみた。
- アンドン設立のきっかけ
- アンドンの運営
- 強み・良さ
- 行動力
- 活動の方針
- 今後の展望
①アンドン設立のきっかけ
長良川のほとりに建つ&n(アンドン)は色々なお店が集まる複合施設だ。店内に入ってすぐに分かったのだが、統一感はないがまとまっていると感じられる、少し不思議な空間である。今回インタビューをさせていただくのは、施設内にあるカフェMIGI COFFEE STAND の右高さんだ。
最初に&n(アンドン)の名前の由来を聞いてみた。
「長良川の頭文字のNを取りました。”長良川のすぐ近く、長良川と一緒にある”という意味を込めました」
設立のきっかけについて訪ねてみた。
「長良会という長良をもっと良くしたいと願う有志の集まりがあるのですが、そこに僕も3~4年前に入りました。」「そこで、この場所を使って何かできないか?という話がでたんです。その話に興味を持った13人の仲間でアンドンを立ち上げました。」と、設立のきっかけを話してくれた。
「このお店は、元々変わった作りだったんですよね。迷路みたいな作りで面白いからこの形を活かしてなにかやってみよう!ってなったんです。」
元々は50年以上前から材木倉庫として使われていた物件だったそうだ。現在のアンドンは改装してはあるが今でもその名残がある。
「作りが面白いから良い」という発想こそがこの場所の始まりなのだ。
「物件を借りて最初の半年はみんな忙しくて放置していたけど、掃除くらいはしよう!ということになり、週一回ミーティングと掃除を始めました。」「でもまだ、自分達に何が出来るかが決まっていなかったので、みんなで話し合って、長良川の近くだし長良を楽しむ!というコンセプトに固まったんです。」「メンバーの庭師さんが実は昔からいつか居酒屋をやりたかったと話してくれて、じゃあそれやろうよ!という話になり、1番最初に居酒屋を始めました。それが今の うかいや食堂 です。」
右高さんも、20歳の頃からカフェをやりたいと考えており、同じように実現したのだと話してくれた。
このアンドンでは、お互いの夢をお互いで後押しをして、実現させている。とても頼もしい関係性なのだ。
「こういう感じでお店を集めようよ!という話になり、メンバーがそれぞれ声をかけて今のアンドンになりました。」
他のメンバーからもやりたいお店が出てきたり、メンバーの知人が出店場所を探しておりアンドンに誘い仲間になったのだという。右高さんはとても楽しそうに色々なお店が集まった経緯を教えてくれた。
オープン時のお話も聞いてみた。
「メンバーは色々な業種の人たちの集まりなんです。なので、なんでも自分たちで出来ちゃうんです。設計から改装も自分たちでやりました。それに、ロゴやチラシにホームページも自分たちで作りました。」「お金儲けするために作った場所ではなく、みんなで”楽しむ場所”というコンセプトがあって、改装もみんなでやったんです。」
話している右高さんを見ていると大変だった作業も”楽しいんでいる”ように感じた。メンバーの業種が違っても、バランスが取れているという事ではないだろうか。こういったエピソードは不思議と珍しく感じる。そもそも集まった理由が、巷の異業種交流とはまったく別物なのだ。憶測になってしまうが、各々が利害関係を優先していないことが、むしろ良いのではないかと感じた。
②アンドンの運営
新たなお店が入るのはどうやって決めるのか?と疑問に思い尋ねてみた。
「毎週ミーティングをしています。そこでメンバーの誰かが「こういうが人いるんだけどどうかな?」って話をしてくれて、他のメンバーが、いいねいいね!ってなってそれが現実に向かって進んでいくんです。うちには最初から止める人はいないので、否定的な意見はほとんどないです。(笑)」
誰かのチャレンジを後押しする事を積極的に行っている姿勢はとても素敵な事だと感じた。
アンドンの組織形態について尋ねてみた。
「最初に作ったのが長良川リバースケープ有限責任事業組合っていう組合です。しかし、組合だと銀行からの借り入れが出来なかったんです。なので、形だけですけど合同会社を立ち上げました。収益構造としてはサブリース事業なので鵜飼屋開発興業(同)という会社名になりました。」
当初の組合と形式上は変わったが、共同経営であることに変わりないと話してくれた。
③強み・良さ
アンドンの強みや良さについて尋ねてみた。
「長良川と金華山と岐阜城それに鵜飼がある。この環境が強みです。」
この立地が良いという点は間違いない。有名な観光地が近くにあり観光名物も豊富なのだ。
だがあまり強みを大きく売り出しているというようには見えず、その理由を聞いてみた。
「アンドンのみんなも”ここで働きたい”ていうのが根本にあるんです。みんなここが好きなんです。」
この場所でやっていることに意味があるのだと話してくれた。こういった運営方針からも、長良を盛り上げたいという想いが感じられる。
敷地内にもう1つ建物があり、そちらについて尋ねてみた。
「最初は民家が建ってたんですが、去年、更地になったので借りて改装をして新しくカフェが出来ました。」「そのカフェで毎週金曜日に何かしようということで、今年はフライデーナイトっていう名前でビアガーデンをやっています。花火大会の日にはDJも呼んで楽しみます(笑)」
毎週のビアガーデンに、時々DJの音楽を聞いたり、花火が見れたりと、楽しくない訳がないと感じた。
「こんな感じで、面白い!と感じることをいつもやっています。」
ここまでお話を聞いていても、面白そうと感じたことは実現させている。
一般的な営利団体ではお金儲けから考えそうなとだが、アンドンでは、”面白そう”が優先されている。
運営側も楽しんでいるからこそ上手くいっているのだろう。
④行動力
大変だったことについて尋ねてみた。
「いま駐車場として利用しているところの話なんですけど、元々は別の人の土地でした。そこを駐車場にしたいという声が上がったんですが、土地の所有者は鎌倉に住んでいたんですが、なんとしても借りたくて、所有者に交渉しに鎌倉まで車で4人で行ってきました。その結果とても仲良くなって土地を借りられました。」と、遠方まで交渉しに行ったことを話してくれた。
「コロナ禍で花火大会が2年延期になった時に、”このままでは花火大会が無くなってしまう“という話になり、自分達で花火大会をやろう!ということになりました。協賛や地域の方からの募金が集まって本格的な花火が出来るようになりました。更にコロナが酷くなってきて行政からも花火大会の開催を中止するように言われたのですが、公にしないという制約のもと3年連続で開催しました。」「僕たちは、長良川花火は大事だと感じたので、様々な方のお力を借りて行政に訴え続けた結果、今年(2023年)の花火大会に繋がったんです。」
「長良川の花火を無くしちゃいけない」「長良を楽しんで欲しい」という想いが原動力となり、その結果が行政に影響を与えて花火大会の開催に繋がったと教えてくれた。
⑤活動の方針
活動に関して、気をつけていることなどを尋ねてみた。
「&nという名前の通り、”長良川と一緒”であることが前提なんです。僕らはここで儲けるいうよりも、地元を盛り上げたいと思って活動しています。」「僕たちの活動を近隣住民の方々に説明をして理解してもらう努力をしています。」「まずは地元の方に長良を楽しんでもらいたいんです。地元の方が楽しめないのに外の人が来て楽しめるわけがないと思うので。」
住民への説明会もやっているのだと話してくれた。確かに名物が名物として存続している背景には、必ず地元の方の理解と支えが必要だと感じた。
「最近は移住してきてくれる人が結構いるんですよ。移住してきたら受け入れ態勢とかも重要なので、そこはうちのコミュニティーが賄っているっていうイメージです(笑)」
アンドンにあるカフェのオーナーは移住してきた方の娘さんが開いており、右高さんのコーヒー屋さんは移住してきた人ばかりが常連さんなのだと話してくれた。「移住カフェ」というのを開催しており、移住者が情報交換をするのだという。現地に適応して知ってもらい、移住者の呼び込みから受け入れにまで対応する。アンドンの活動は地域活性化においても理想的ではないだろうか。
⑥今後の展望
今後の展望を尋ねてみた。
「今まではアンドンの中でのコミュニティーだったのですが、アンドンのコミュニティーにいる人たちの周りにある、外のコミュニティーにまで繋がっていけたら面白いなって思っています。」
ちょっと難しいが、例えるなら友達の友達のように、認知しているけどまだ繋がっていない人とも繋がっていきたいということである。仲間内だけで何かやるのはもちろん楽しいが、その外の人と一緒に何かするのはもっと面白い。
そんなコミュニティーになったらより多くの人がアンドンを中心に長良を盛り上げる、アンドンはより素敵な場所になっているに違いない。
是非実現して欲しいものである。